ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

法人で利用される生命保険とは?

皆さん、こんにちは。
講師の伊藤です。
残り2ヵ月をきりました。そろそろ一回目のテキスト内容確認が終わりましたでしょうか?
もしくは終わりが見えてきましたか?
まだ全然着手していないという方は、本腰入れてこの2ヵ月学習してください。
最終的には繰り返し学習し、過去問題を確実に解けるようになった者が勝つのです。

さて、本日はFP2級資格学習者向けの話をしておきましょう。
といっても試験対策というよりは実務で利用できる内容です。

法人が生命保険に加入する本来の目的は、何でしょうか。それには大きく3つの理由があります。
1つは代表者が死亡した場合の借入金返済など「信用面の補完」です。
代表者が死亡した場合でも資金繰りに問題がなく、支払いや返済に遅延がなければ対外的なリスクの回避につながります。
そのため、借入金の返済が行えるように、死亡保障でカバーできるように対策を行っておくのです。

この際に注意したいのが、法人が受け取った死亡保険金は雑収入となり法人税等が課税されることです。
平成28年度における実効税率は31.33%。この課税部分も考慮するならば、
借入金のおよそ1.46倍を死亡保障として準備をしておく必要があります。

例えば、借入金が5,000万円の場合には、5,000万円×1.46倍=7,300万円の保障が準備できると望ましいといえます。
この保障は定期保険の保険金額として算出しましたが、借入金を中長期的に減らすことができそうであれば、
逓減定期保険に加入することもよいでしょう。
なお、保険期間は借入期間相当で検討することが望まれます。

2つ目の目的としては、代表者が死亡した場合の「家族への保障」です。
これは、家族の生活費をまかなうという観点と代表者家族が連帯保証人となっている場合の
借入金返済に充てる観点で検討する必要があります。
この場合には、代表者の勇退退職金準備もかねて、長期平準定期保険や逓増定期保険に加入するケースが多いといえます。
勇退時に退職金支払いとして利用できるほか、死亡時には死亡退職金としてカバーできるためです。
保険期間は長期平準定期保険であれば90歳超、逓増定期保険では解約返戻金がピークとなる時点を
勇退退職時期とあわせるように設定を行います。

3つ目の目的としては、「従業員への対応」です。代表者が死亡したとしても、
給与支払いを安定的に行うことで従業員への動揺を緩和させるのです。
そのために、契約者と死亡保険金受取人を法人、被保険者を代表者とし、想定される役員在職期間を保険期間とします。
必要保障額は、ボーナスなども含んだ年間給与支払額を12で割った額の3~6倍、
すなわち3~6ヵ月分相当額となるように提案します。

以上3つの目的により法人が生命保険に加入するケースが多いといえます。
法人の創業期には負担を軽くするためにも10年定期保険などに、
成長期や成熟期には退職金準備のための保険に加入するケースが多いのが法人の特徴ともいえます。

最近のブログではこうした実務的なものも載せるようにしています。
これは、皆さんがただ資格を取るだけではなく、実践で活かせるようにもしていただきたいためです。
あくまでもコーヒーブレイクとして読んでいただければ幸いです。

<予想問題>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。
次の各文章を読んで、正しいものまたは適切なものには①を、誤っているものまたは不適切なものには②を、解答用紙にマークしなさい
【問題1】
ROEは、総資産に対する自己資本の割合を示す指標である。

<解答> ×
ROEとは、自己資本に対する当期純利益の割合を示す指標である。一般的に、ROEが高い
ほどその企業の収益性は高く、投資価値が高いといえます。

1

【問題2】
所得税の計算期間は、原則として1月1日から12月31日までの期間であるが、
個人事業主については任意に定めた事業年度を計算期間とすることもできる。

<解答> ×
所得税の計算期間は、原則として1月1日から12月31日までの期間の1年間となります。
個人事業主は1月1日から12月31日を事業年度とするように決められています。
なお、法人は事業年度を任意に定めることができます。

いかがでしたでしょうか?投資指標の計算問題は、学科・実技いずれでも試験にでる可能性があります。
ROEのほか、PERやPBR、配当利回りなども計算できるように復習してください。
また、所得税は2級も3級も必須です。税制の知識を身に着けることで他の課目でも役立ちますので、
確実に解けるようにしていきましょう。

それではまた次回、お楽しみに★