行政書士講座の講師ブログ

商人間の留置権

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の福澤です。
学習は進んでいますか?

今回は、誌上講義です。
テーマですが、たまにご質問の来る、
行政書士試験の平成24年の第36問に出題されている、
商人間の留置権について、少し書きたいと思います。

まず、条文です。

商法521条
「商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない。」
となります。

留置権自体のイメージは、民法でも学習していますので、持てると思います。
そこで、この商人間の留置権の学習のポイントですが、民法との違いにあります。
すなわち、民法の留置権と異なり、債権がその占有物に関して生じていなくても、
その占有物に商事留置権が認められるので、
商人間における大量かつ継続的な取引によって生じる債権の回収を図ることができます。
たとえば、倉庫業者が債務者所有の動産を保管しているときに、
以前に全く別の契約により発生した保管代金の弁済を受けるまで、
当該動産を留置するといった場合が考えられます。

あとは、要件です。
(1)当事者双方が商人である
(2)債権の弁済期が到来していること
(3)留置権の目的物は、債務者の所有する物または有価証券であること
(4)被担保債権が、当事者双方のために商行為によって生じたこと

以上の点を理解しておくとよいでしょう。

今回は、この辺で。