皆さん、こんにちは。
簿記講座担当の小野です。
祝日3連休まで、あと約1ヶ月。何とか乗り越えていきましょう!
前回、日本での教育投資に関する社会的収益率と私的収益率を紹介しました。
日本はOECD平均よりも、社会的収益率がかなり高く、
指摘収益率がかなり低いという状況でした。
このことからすぐに3つのことが分かります。
1つは、社会的収益率が高いことから、
政府等にとっては少ない投資額で多くの税収が得られているということです。
日本では、高等教育に対する公的負担が低いとよく言われますが、データからも明らかなわけです。
もう1つは、私的収益率が低いことから、
教育を受けたことから生じる賃金格差が欧米ほど大きくないということです。
単純計算で、大学に行くことによる収益率は欧米の半分しかないわけですから、
経済的格差が生じにくい状態となっているわけです。
そして、これらを組み合わせて考えると、
日本では、政府が教育から得られる便益を家計が支えているということになります。
極端な話、小さいころから子どもにいい教育を受けさせる便益の多くの部分が政府・社会にもたらされていて、
本人にもたらされる便益は欧米よりもかなり低い状態なんですね。
この状況、日本はどうすべきでしょうか?
何もしないというのも1つの選択肢でしょう。
今は家計が負担した教育費でもって、政府がかなりの便益を受けているのですから、
政府の立場としては今の状態はそんなに悪い状態ではないかもしれません。
でも、当然ですが、現役世代の収入がどんどん下がっていて、
かつ社会保障負担が増えている現代において、この状態を放っておくと、
教育費を負担できる家計がどんどん減っていくのは明らかで、
そのうち家計が政府部門に便益をもたらせなくなるでしょう。
ということは、よく言われているように、
家計が負担している教育費を政府が負担すべきということになるでしょうか。
いずれにしても、政治家の皆さんには、感情ではなく客観的なデータを示しながら、
最も適切だと思われる政策を提示してもらいたいものですね。