簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

皆さん、こんにちは。 
簿記講座担当の小野です。
今日もがんばっていきましょう!  

また出ました! 
某党が「内部留保課税で設備投資を促す!」を公約として示しました。
リーマン・ショックの時も
「企業がため込んでいる内部留保で雇用を創り出す」
と主張する人がいました。

「過去最高益を更新し内部留保をため込んでいる企業に対して、
その内部留保に課税し、雇用創出や設備投資に回す」のだそうです。

雇用が創出されれば国民生活にとっていいことでしょうし、
設備投資が行われれば設備を販売している企業の売上が増え、
その企業の従業員の給料が増え・・・と回っていくことでしょうから、
国民生活にとっていいことのように聞こえます。

まさに、「内部留保をため込んでいる企業が国民に富を還元させる」
という主張のつもりなんでしょう。

簿記の勉強をされている方々にとっては当たり前のようにわかることですが、
内部留保に課税したって雇用は創出されませんし、設備投資は増加しませんよね。

だって、内部留保(3級の場合は資本金勘定、2級の場合は繰越利益剰余金勘定)
があるからといってお金を持っているわけではありませんから。

例えば、100万円のサービスを提供して、その代金を現金で受け取ったとしましょう。
(借)現金 100万円 (貸)売上 100万円

この現金で来年使う予定の設備100万円を購入しました。
(借)設備 100万円 (貸)現金 100万円

経費等は一切かからなかったとすれば、上記の100万円がその会社の利益となります。
(借)売上 100万円 (貸)資本金 100万円
             (繰越利益剰余金)

2つの目の仕訳で記録された貸方科目が、企業がため込んでいる利益相当額です。
1年間の活動で100万円の利益を生み出したんですね。
一方で、すでに利益相当額の100万円の設備を取得しています。
つまり、利益とは1年間の活動の成果であって、その結果何を保有しているか(資産)とは別の話です。

100万円稼いだからといって、100万円のお金を持っているわけではありません。
上記の例のように、稼いだお金で設備投資しているかもしれません。
上記の例では、「100万円の稼ぎに課税する」といわれたら、設備投資するでしょうか? 
するわけありませんよね。

ということで利益計算と持っている財産の計算は違うという前提で政策を議論して欲しいと思う今日のこの頃です。



小野正芳

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