簿記講座の講師ブログ

教育無償化は格差拡大装置

皆さん、こんにちは。
簿記講座担当の小野です。
世の中景気がいいそうですが、私の日々はほぼ変わらず…。

教育は親世代が子世代へ提供すべきもの。
借金せずに、つまり親世代の納税額で無償化の原資を賄えるのであればいいと思いますが、
借金で無償化の原資を賄ってしまうと、ちょっと話が変になってしまう気がします。

借金で賄うと、その借金は将来の納税額で返済されることになります。
ということは、本来は親世代が子世代に払うべきお金を、
子世代自身が払うことになってしまうんですね。

したがって、借金による教育無償化は子世代から親世代への所得移転となってしまうわけです。
逆所得分配ともいうべき状況になり健全ではないような気がします。
自分の子どもに向かって、直接「幼稚園・保育園の費用はお前が将来大人になってから払えよ」
と言える親がどれくらいいるのでしょうか。
おそらく言えないでしょう。でも、税という仕組みを通すと、多くの人はそれを言えてしまう。
自民党に投票するということは、税という仕組みを通じて、
子供に対して「自分で自分の幼稚園の授業料を払えよ」
と言っていることになるような気がするんです。

しかも、無償化すると高所得世帯にとってのみ有利な状況になるということも最初から分かっています。
すでに、所得に応じて幼稚園や保育園の授業料に対する補助が出る自治体は多いようです。
一定の所得まではほとんど自己負担なしというのもそれほど珍しい状況ではありません。

私が住んでいる自治体ですと、年収400万円くらいの人(40代の平均年収くらい?)の場合、
1人目の子どもについては、授業料のほぼ半額くらい、2人目の子どもについてはほぼ8割、
3人目の子どもについてはほぼ全額に相当する補助金を自治体から受け取ることができます。
このような補助を受けられないのは年収800万円くらいの人達からです。

ということは、無償化することで大きな恩恵を受けるのは高所得者の人たちということになってしまいます。
高所得者は浮いた授業料で子どもを習い事に行かせるかもしれません。
そうすると、高所得者の子どもはその能力を高める機会を与えられることになり、
ますます格差が広がっていくような気がしてなりません。

さて、教育無償化は吉と出るか凶と出るか? 
私のような庶民は、凶と出たときにどんなリスクヘッジ手段を取りうるのでしょうか? 
とてもとても気になってしまいます。