簿記講座の講師ブログ

時代遅れの資産運用①

 皆さん、こんにちは。

たまたま、最近、複数の業者から資産運用に関する営業の電話があり、ウンザリしています(それにしても、業者はどこから私の自宅の電話番号などの個人情報を得ているのでしょうね)。

業者からは様々な提案があるのですが、業者による提案には2つの共通点があります。

1つめは、ワンルームマンションと銀行借入を組み合わせて不動産所得を赤字にする(税金を還付してもらう)ことによってリターンを得るというものです。ここでは「ローンの返済が終わるとそのワンルームマンションをあなたのものですよ」という言葉も聞かされます。このやり方や言葉は「ナウい」くらい古くさく時代遅れで、スマートフォン時代にランドセルくらいの大きさの初期型の携帯電話を売り込んでいるようなものです。こうやってアナロジーを出せば、すぐに、“古くてやってられない”ということは明らかなのに、なぜ、ほとんどの業者が同じようにこのセールストークをするのかが不思議です。

資産運用というと、一般的にはお金持ちが株や債券を使ってやるものとイメージされるでしょう。しかし、今は若年層に限るとその60%くらいの人々が何らかの行動をしているそうです。ただ、株や再建を使って運用をやるといっても、株や債券だけにお金を集中させると、リスクが大きくなります。株がこけたら資産の半分がなくなったということになりかねないわけです。ですから、まともな初心者向けの資産運用本では、運用の基本としてアセットアロケーションの重要性が書いてあります。
アセットアロケーションとは、自分のお金をどの資産に配分するかということです。このときには商品だけでなく、地域も分散させるべきであるというのが一般的な考え方だと思います。例えば、次のような感じです。

資産       日本     先進国     新興国
現金・預金   10%      10%        –
株式       15%       20%       10%
債券        -       15%       5%
不動産      5%       5%       –
商品       -         5%        –

このポートフォリオでは、資産のうち15%を「日本」企業の「株式」で、20%を「アメリカ」などの先進国企業の「株式」で、5%を「ブラジル」などの新興国の「国債」で所有するということです。現在は恐ろしい時代になったもので、1,000円単位でこの配分が可能です。要するに「ブラジル国債」を1,000円分買う(ブラジル政府に1,000円貸す)ことができるんですね。ちなみに、運用の世界ではこの配分をどのようにするかでもうけの80%が決まり、その後の運用はそれほどもうけに影響を与えないとさえ言われているようです。

仮に上のような表に基づいてポートフォリオを組んでいる人が、1,000万円のマンションを持つということはどういうことになるでしょうか。国内の不動産は全財産の5%ですから、1,000万円は全財産の5%ということであり、この人は2億円もっている必要があります。

一般的な考え方で行くとワンルームマンションをポートフォリオに組み込める人は億単位の資産をもっている人になるわけです。その1/10ももっていない私はワンルームマンションをポートフォリオに組み込むことはできません。