簿記講座の講師ブログ

虚偽記載をなくす方法

 皆さん、こんにちは。

 最近、小沢議員の資金管理団体による虚偽記載事件で秘書の3人に有罪判決が出ました。

 小沢議員の資金管理団体に限らず、多くの議員の事務所でも政治資金に関する帳簿の記載ミスが報道されています。それが本当に記載ミスなのか、何かを隠しているのか、それとももっと重大なことがあるのかはわかりませんが、国民の実感として「どうせ政治家はいろいろなところといろいろなお金のつきあいがあって、表に出せないものがあるんだろうな」と思っているのではないかと思います。

 だから、政治資金に関するミスが出てきても、ちょっとだけ報道されるだけで、特にその議員を辞職に追い込んだりするレベルまで発展することはあまりありません。「やっぱりやっていたのね。驚きもしないよ。」ということでしょうか。

 そこで提案です。「政治資金に関するミスがあっても怒りません。その代わり、そのミスと同額の課徴金を払って下さい。」ということにしてはどうでしょう? 4億円の記載ミスがあったのであれば特別課徴金として国に4億円納める。そして、被災地の復興や、社会的弱者対策(低所得者が子どもを保育園に預けるための費用を援助するなど)に回せばいいのでは? 究極の所得の再分配です。お金にまみれてお金を生み出そうとしている人から、生活するお金に困っている人への再分配ですから。

 自動車ドライバーがうっかりミスで交通違反を起こすと問答無用で罰金です。うっかり標識を見落としてしまっただけの違反で、「すみません。見落としてしまいました。」といったところで、「でもちゃんと標識が出ていますからね。」といわれて切符を切られてしまいます。軽微な違反であれば、お巡りさんも交通ルール違反について説教するわけでもなく、淡々と切符を切るだけです。おそらく、お巡りさん自身も交通ルール違反がそれほど悪いことであると思っていないのでしょう。もし安全を守るために本当に必要であると思っているのであれば、それについて何かしら言うでしょう。一方、ドライバーは罰金を払いたくないから交通ルールを守りますし、罰金さえ払えば、それ以上何も追求されることはありません。つまり、「交通違反は悪いこと」というモラルの問題ではなく、少なくとも半分は経済的インセンティブの問題です。

 おそらく、政治資金をごまかすことについてのモラルを政治家の人はあまり持っていないと思われます。とすれば、もうモラルの問題ではなく経済的な問題に置き換えてしまえばいいのではないかと思うのです。

 経済学者は、様々な経済的インセンティブが人々に与える影響について研究し、データを蓄積しています。そのような研究結果から多くの政策が生み出されます。政策立案者様、ちょっと経済学を使いこなしてみてはどうでしょう?