簿記講座の講師ブログ

子供の誕生に際して思ったこと

 皆さん、こんにちは。

 前回は、私事につきあっていただいてすみませんでした。

 子供が誕生したことは非常にうれしいのですが、私の悪い癖か、すぐに現実に引き戻されてしまいます。それは、生まれてきた彼はすでに1,000万円近くの借金を背負っているということです。

 国と地方・特殊法人の借金をあわせて人口で割るとだいたい1人あたり1,000万円の借金を背負っていることになります。国全体の借金が1人1人の個人勘定に分けられていないだけで、借金の返済・利息の支払いはすべて国民が納める税金からなされます。

 これだけ借金があり、さらに毎年歳出が歳入を超えている状況は、とてもいいものとは思えません。借金を返済するためには増税する必要があるでしょうし、歳出を歳入以下にするために支出をカットする必要があるでしょう。おそらく、どちらかだけで日本の財政状況をよくできるような秘策はないと思います。

 ですから、我々国民は日本をこのような状態に至らせるような政策しか実行できなかった政治家を選んだことを後悔しつつ、この状況を改善するために前向きな政治家を選ぶ必要があります。そこではやはり2つの視点(支出カットの方法と増税の方法)が必要です。
 このうち増税については、子供の誕生に際して次のようなことが頭をよぎりました。現在、社会保障を中心に「世代間の不公平感を是正する必要がある」ということがよく言われています。要は現在の現役世代(特に30~40歳代は払いすぎ、高齢者はもらいすぎなので、高齢者給付を引き下げようなんて話です。でも、小さな子供を持つ現役世代からみると、世代内でも大きな不公平感を感じます。

 私は2人の子供を育てるために大きな経済的負担を負っています。大学まで公立に生かせても数千万円の教育費がかかるというようなことがよく言われていますから、子育てに大きな経済的負担がかかることは多くの人がご存じでしょう。

 そして、財政の大きな負担となっている年金システムの点から見ると、私が育てた子供は20数年後から、年金扶養システムに組み込まれて不特定多数の高齢者を扶養することになります。つまり、私の個人資産が子供を経由して、将来の高齢者に配分されるわけです。たぶん将来の高齢者は、現時点の私と同年代でしょうから、もっと極端な言い方をすれば、私は「子供」という口座に貯金して、その貯金が30年後くらいから私と同年代の他人に支払われるわけです。

 もちろん、子供を持つことは単に経済的負担の面だけからとらえることはできません。前回も書いたように、どうでもいい漫才みたいな時間が活力となるといった面もあります。しかし、増税という観点から、少子高齢化をどうにかしなければならないという国策として子供問題を見る場合には、子供を持っている人に何かするのではなく、子供を持たない人から税を徴収するのが適当だと思います。つまり、成人は、現在支払っている保険料以外に、個人資産を「子供」を経由させて将来の日本経済に貢献するか、個人資産を「国(税金)」を経由させて現在の日本経済に貢献するか、という義務を負うのだと思います。

 生涯未婚率も高まっていますし、結婚や子供を持つことは個人の自由ですから、それに対して税に関するインセンティブを導入することには大きな反対がでるでしょう。しかし、国策にあう活動をしている企業・個人にはすでに税の優遇措置(相場低迷時の現在、株式の売却益課税は半額になっている=どんどん売買してくださいということ。住宅を買うと10年間にわたって税金が安くなります=住宅産業は裾野が広いので経済に大きな影響を与えるから、どんどん家を買ってくださいということ)があります。それなら、国策にあわない活動を行っている人に対して他の人よりも高い税を課すことはそれほど難しいことではないと思うのですが・・・。税の優遇ではなく、増税にすれば、財政も好転するかもしれないし。みなさんいかがですか。