簿記講座の講師ブログ

本当に庶民いじめ? その1

 皆さん、こんにちは。

 さて、いよいよ消費増税が近づいてきました。安倍総理も2014年4月に消費税を増税することを決めたようです。
 そうすると、“庶民いじめをするな!”などといった批判が出てきます。おりしも法人税の減税が話題になっている時期です。「消費税として庶民から8兆円近くを税金として搾り取るのに、儲かっている企業に対して減税するなどけしからん」という具合です。こういう話が出てくると、そもそもこの話は成り立つのか? 企業vs.人間という対立構造は成り立つのか? そもそも企業(法人)って何なのか? などなど、いろんな疑問がわいてきます。これらの点について、少し考えてみましょう。

 私たちの社会の動きはすべて投資とリターンという観点から説明できると思います。私たちの社会では、個人個人が様々な形の資本(元手)を様々な経済活動に投入して(投資)、そこから収入(リターン)を得て生活しているのです。通常、私たちは主に2つの投資活動を行っています。
“投資”や“リターン”と聞くと多くの人は金融活動を想像するでしょう。もちろん、金融活動は投資の1つです。ここでいう金融活動とは、金融資本(お金)という元手を経済活動に投入し(預金したり、株を買ったり)、リターン(利息・配当金・売却益)を受け取る活動です。
預金は銀行を通じて、私たち個人の金融資本を様々な企業(あるいは国)へ貸し付け、その見返りに利息を受け取る活動です。株式の購入は、直接、私たち個人の金融資本を様々な企業へ提供し、その見返りに配当金・売却益を受け取る活動です。つまり、預金も株式購入も、その経済的な役割は企業へのお金の提供という点で同じなんですね。ただし、この投資はリターンが大きく変動し、場合によってはマイナスになるというリスクが存在します。
もう1つの投資は労働です。労働とは人的資本(能力・体)という元手を経済活動に投入し(働き)、リターン(給料)を得る活動です。この投資は金融投資に比べてとても安全・確実な活動です。なぜなら、リターンがマイナスになることがないからです。私たちは、基本的には、勤めている企業(法人)が倒産しない限り、毎月給料を受け取れます。給料がマイナスになるなんてことはありえません。つまり、収益率が絶対プラスになる投資なんです。労働ってなんてすばらしいのでしょう! 

 このように私たち個人は金融資本と人的資本という点で企業(法人)と関わっています。企業vs.人間という対立はあり得るのでしょうか? 続きは次回。