簿記講座の講師ブログ

消費税軽減税率分の還付方法に対する反対意見は摩訶不思議 -その2-

皆さん、こんにちは。

前回の件について、ちょっと考えてみましょう。

まず、還付制度が却下された最も大きな原因であったと考えられる
「政府から監視される」という点を考えてみましょう。

そもそも、還付制度は消費税のうち食料品に関する部分ですから、
監視されるのは食料品の消費状況だけです。
諸外国の状況を考えると“外食”は軽減税率の対象外とされる可能性が高いですから、
外食の際にはマイナンバーを伝えることもなく、
外食については政府に監視されることはないでしょう。
また、食料品以外の消費については制度の対象外であり、
それらの消費行動が政府に監視されることはないでしょう。

スーパーやコンビニで買い物を行う際にポイントカードを使っている方は多いでしょう。
ファミリーマートでパンを購入したときにTポイントカードを提示すれば、
CCCのサーバーに購入日、購入者、購入物、価格という情報が蓄積されています。
その買い物情報を提供する代わりに、購入代金の1%分のポイント(使途が限定されたお金)をもらいます。
CCCという民間企業に消費行動を監視されることに対しては全く無防備なのに、
政府に監視されることに敏感になるのはなぜでしょう? 
しかも政府から還付されるお金の使途は制限されていないのに・・・。
 
また、低所得者が誰なのか定義されていません。
仮に年収300万円以下だったら給与所得者の4割が該当します。
つまり、6割の人は制度の対象外なので、
食料品を買うときにマイナンバーを提示する必要すらありません。
そもそも6割の人は監視なんかされないんです。制度の対象外ですから。

朝日新聞の調査ではマイナンバーを使った還付制度に反対したのは
アンケート回答者の54%でした。
アンケート回答者の所得分布は分かりませんので確かなことはいえないのですが、
制度対象者となる人で「イヤだ」といっているのはいったいどれくらいなんでしょう?

つまり、メディアが反対理由として最も重視していたように見える
「監視されるからイヤだ」という理由は、理由として成り立たないのでは? 
と思ったわけです(少数意見を取り入れるべきとはいえ、民主主義の原則は多数決でしょうから)。

大多数の人はすでに民間企業に消費行動を監視されています
(だから携帯にDMメールが届きますよね?)。
しかも、還付制度の対象者とならない可能性のほうが高いわけです。
つまり、今回の反対意見は、そもそも自分が監視対象とならない上に、
すでに受け入れている監視体制を拒否するという
摩訶不思議なものになっているような気がするのは私だけでしょうか。