簿記講座の講師ブログ
転職と生産性

 皆さん、こんにちは!

 簿記講座担当の小野です。

 暑い日の中、突然涼しい日があったり。絶対に体調は崩さないように!

 皆さんは、何のために資格取得の勉強をなさっているでしょうか? 様々な理由があると思いますが、「転職を有利に進めるため」という理由はかなりの割合を占めると思います。日本には「石の上にも3年」ということわざもあり、5年10年くらいはしっかりと同じ職場で頑張るべきという意見も依然として多いと思います。

 一方で、同じ人が同じ会社内に居続けることが悪影響を及ぼす可能性も高そうです。OECDが発表した国際労働比較情報によると、勤続年数10年以上の雇用者割合が高い国ほど生産性が低いという結果が示されました。つまり、1つの会社で長く働く人が多い国の生産性は低いということです。裏を返せば、転職が盛んに行われる国の生産性は高いということです。

 その理由を考えてみましょう。転職は社会的ニーズの低い産業から社会的ニーズの高い産業へ人を移動させる効果を持っています。社会的ニーズの高い産業で働くためには、新しい能力が必要ですが、その代わりに比較的高い給料が提示されます。現在でいうとIT企業が当てはまりますね。一方で社会的ニーズの低い産業は、時代的にあわなくなっている産業といえます。そういった産業では新しいお客さんを見込めないため、つぶれないためには従業員の給料を下げるなどのコストカットが必要となります。

 このように、社会的ニーズの変化によって、産業に対するニーズが変化するため、それが従業員の給料に反映されて、人の移動が起きるのですね。

 OECDのデータによると、日本は45.8%の人が勤続10年以上の従業員で、1時間当たりの付加価値(労働生産性)は約50ドルです。一方、ノルウェーでは勤続10年以上の従業員は30%にすぎず、労働生産性は90ドルです。大無縁、勤続年数10年以上の従業員が増えると、労働生産性が下がるというデータが示されました。

 そんな中、日本では20代の勤続3年以内の人々が活発に動いているようですが、30~40代になると一気に動きが鈍くなります。早く動き過ぎると十分なスキルを身につけることができないまま次の産業へ移動することになります。スキル習熟度と勤続年数の関係に十分注意しながら、中高年になっても転職する社会がくると、うまくいく国になりそうです。