通関士講座の講師ブログ

輸入米の安値流通の抜け道

みなさん、こんにちは。
講師の神田です。

海外からの安いコメを国の管理下で輸入する
「売買同時入札」(SBS)において、
輸入業者が実際より価格を高く見せかけて入札に参加する
不透明な取引がありました。

まず、総合商社Aと卸売業者Bが組んで約300トン分を落札した取引。
その後「Aが輸入米を1キロ約145円で国に売り、
国は売買差益を上乗せした約194円でBに売る」との条件で入札に参加しましたが、
Aは約40円の調整金(リベート)をBに払っていました。
その結果、Bは実質的に約154円で輸入米を仕入れたことになり、
国が管理する価格より大幅に安く国内の外食産業などに売ることができる状況でした。

一方、環太平洋連携協定(TPP)で米国とオーストラリア産の輸入枠を
拡大することが決まっています。
政府はTPP発効による国内のコメ生産額への影響を「ゼロ」と試算していますが、
現場の農家などから「楽観的過ぎる」と批判があがっています。

さらに、今回のようなリベートを抜け道として制度の趣旨が
骨抜きにされていたとすれば、試算の根拠が一段と揺らぎかねません。
政府は早期に実態調査を終える方針で、
一定の改善策も示し沈静化させたい考えのようです。