実務家密着取材

直撃インタビュー
行政書士 湯原玲奈さん

行政書士   湯原玲奈 さん

1973年兵庫県生まれ、東京育ち。1996年に武蔵大学人文学部を卒業後、ニュージーランドへ日本語教師として派遣され、1年後に帰国。その後、米国公認会計士の専門学校にバイリンガルスタッフとして入社。1998年に退職し、英国ニュース専門チャンネルBBC Wolrdに転職。法人営業として主に外資系ホテル・大学・企業を担当。出産を機に2003年に退職し、専業主婦に。一生続けられる仕事を模索し、行政書士の道を選ぶ。2007年度の試験に合格、2009年3月に登録。東京都行政書士会大田支部に所属する東京入国管理局届出済申請取次行政書士。

行政書士湯原玲奈法務事務所のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.reina-office.com


自らの経験を軸に、お客様の未来と夢をバックアップ
地域に根ざした法務コンシェルジュ

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、行政書士の湯原玲奈さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


業務内容はサービスを提供するお客様が個人か法人かによって大きく2種類に分けられます。個人のお客様で多いのは、離婚に関するご相談です。すでにお気持ちを固められ、離婚を決心された方については、離婚協議書や公正証書等の書類作成をさせていただいておりますが、なかには混乱されて自分の心を決めかねているお客様も多くいらっしゃいます。そういうお客様に対しては、まずじっくりと時間をかけてお話を聞き、当事者の心の整理をサポートしながら、離婚準備のお手伝いをさせていただいております。また、法人のお客様で多いのは、会社設立・外国人雇用のための在留許可等の各種許認可の申請案件です。案件ごとにスポットでいただくこともありますが、顧問として継続的に携わるケースもありますね。


妻であり、母であり、女性行政書士である湯原さん

妻であり、母であり、女性行政書士である湯原さん


行政書士の資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


もともと仕事をするのが好きだったのですが、出産を機にやむを得ず専業主婦になりました。一度辞めてしまうと、家庭と小さな子どもを抱える女性がフルタイムの仕事に戻るのには、大きな壁があります。自分の人生が変わってしまったことに対して、長い間葛藤がありました。そこで、ふと「勉強したい。何か資格を取りたい」という気持ちになりました。もともと、自分が住む地域に密着した仕事をしたいという気持ちもあったので、独立開業ができる行政書士の資格を選択しました。女性は人生のターニングポイントで、望む望まざるとにかかわらず大きな変化がありますが、士業は独自のスタイルで仕事が出来ます。その中でも資格として汎用性のある行政書士を選んで良かったと思いますね。


大田区内の士業ネットワーク「おおた助っ人」では、相談会も開催

大田区内の士業ネットワーク「おおた助っ人」では、相談会も開催


開業されてから、どのように仕事を進められたのでしょうか?


勉強をして行政書士の資格を取ったものの、実務としては全くの未経験。ですから、「資格を取って、すぐに開業」というのではなく、準備期間を設けました。多くの本を読み、開業セミナーや勉強会等に参加しているうちに、行政書士の職種の中に、外国人のビザ申請を中心とした入管業務があることを知りました。私は以前、ニュージーランドで日本語教師の仕事をしていたことがあるのですが、その際、現地の方からのご厚意に助けられ、感動した経験があります。今度は私が日本という慣れない異国の地で暮らす外国人の方たちのお手伝いをしたいという気持ちが高まってきました。そこで、入管業務の実績があり、尊敬できる行政書士の方のもとで、開業までの期間に修業をさせていただきました。また、開業後は、立て続けに離婚のご相談をお受けしたことにより、自分の持っている強み、「妻であり、母であり、女性である」という特性を再認識しました。ライフステージに応じた女性の様々なお悩みに応えたいと強く思うようになり、結婚・離婚の相談・サポート・コンサルティング業務も積極的に行うようになりました。


お仕事のやりがい、魅力は何でしょうか?


自分がこれまで生きてきて、培ってきた経験を各案件に落とし込んで、お客様をサポートできるということは、この仕事の大きな魅力だと思います。海外経験、OL経験、営業経験、そして妻・母としての経験は全て、私にとっての大きな強みであると思っています。女性としての自分の人生経験を軸にアドバイスし、お客様のサポートをすることで、「ありがとう」と感謝され、報酬をいただけるのは本当に嬉しいです。また、行政書士は「街の法律家」とよく言われますが、「予防法務の専門家」とも言えます。お客様の人生のターニングポイントや、未来の夢を多角的にサポートできるという面でも、他の職種にはない魅力だと思いますね。


行政書士は「予防法務の専門家」

行政書士は「予防法務の専門家」


今後の夢や目標は何でしょうか?


5年、10年先を見つめて計画を立てていますが、今、自分に求められていること、出来ることを積み重ねながら成長していきたいと思っています。現在、弁護士や司法書士など、大田区内にいる有志の専門家を集めて、街の問題をワンストップで解決していく「おおた助っ人」というチームを編成、2010年11月 25日に一般社団法人化いたしました。これからも自分の住む街、環境に貢献していきたいと思います。5年後くらいには、女性のお客様に気軽に立ち寄っていただける事務所を構えたいと思っています。ゆくゆくは、地元で女性の雇用支援もしていきたいですね。



勉強をしている最中は、「今、学んでいることが将来何の役に立つのだろう」と思うことがしばしばありました。けれど、実際に仕事をしていると受験勉強で学んだことが本当に役に立っています。実務では、“全体を見ながら、微細に落とし込む”作業が必要です。一部の作業をするために大枠を理解する力が必要になります。その力を身につけたことは、日々の生活や世の中の仕組みを理解する上で、とても役に立っていると思います。行政書士は、女性が仕事と家庭を両立させて、一生続けていける仕事だと思います。是非チャレンジしてみてください!


行政書士   湯原玲奈 さんの、ある1日


ある日のスケジュール

7:00

起床

朝食の準備、家事、子どもの送り出し

9:50

出社

メールチェック

10:00

個別相談

離婚に関する相談

12:00

昼食

 

13:00

外出

ビザ申請のため入国管理局へ

15:00

個別相談

クライアントを訪問、打ち合わせ

16:00

帰社

書類作成

17:00

帰宅

夕食の準備、子どもの宿題を見る

19:00

夕食

 

21:00

事務作業

メールチェック、翌日の仕事の確認・準備等

24:00

就寝