実務家密着取材

直撃インタビュー
行政書士 中道基樹さん

行政書士   中道基樹 さん

1980年生まれ。東京都中野区出身。2003年に立教大学法学部を卒業後、家業の学習塾を手伝いながら、弁護士を目指す。司法試験を7回受験するも不合格。2007年度の行政書士試験を受け一発合格。2009年7月に行政書士として登録し、「ナカミチ行政書士事務所」を開業。現在、社会福祉法人中野区社会福祉協議会特別会員、特定非営利活動法人ライフサポート東京の正会員である。

ナカミチ行政書士事務所のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.nakamichioffice.com


争いを未然に防ぎ関係修復に携わる交渉人
行政書士は街の身近な法律家

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、行政書士の中道基樹さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


依頼される案件に対し、特に選り好みはしていませんが、現在特に力を入れているのは「遺言・相続・成年後見」ですね。主な業務の具体的な内容としましては、「公正証書遺言作成支援」、「遺言執行」、「遺産分割協議書作成」などを行っています。また、「遺言のすすめ~相続が争族にならないために~」というセミナーを定期的に開催したり、社会福祉法人を通してのボランティア、特定非営利活動法人ライフサポート東京のメンバーとして高齢者の相続法務相談も行っています。他に、民事系の問い合わせや相談を受けるケースもありますね。


「遺言・相続・後見制度」をメインにしている中道さん

「遺言・相続・後見制度」をメインにしている中道さん


行政書士の資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


学生時代からサークル活動などで、人の間に立つ、「調整役」、「仲介役」、「交渉役」が性に合っていたため、漠然と「法律家になりたい」と考えていました。「法律家」というと「弁護士」というイメージがあったので、大学は法学部に進み、司法試験を受けました。何度もチャレンジしたのですが、なかなか報われなかったときに、行政書士という職業があることを知りました。行政書士なら「これまで学んだ民法の知識を活かせ、法律の仕事にも携わることが出来る」と受験し、2007年度の試験で一発合格しました。


中野駅から徒歩1分のオフィスで遺言セミナーも定期開催

中野駅から徒歩1分のオフィスで遺言セミナーも定期開催


開業されてから、どのように仕事を進められたのでしょうか?


「登録をしたら、すぐに開業しよう」と決めていました。もともと実家が自営業でしたので、開業することに対してハードルは特に感じませんでしたね。根が楽観的なので、「お金を貯めて十分に準備してから」、というよりも、勢いに乗って自宅で開業。その後、「きちんとした事務所を構えて積極的に集客しよう」と中野サンプラザにある現在の事務所に移転しました。法律に関する知識はあるものの、コネも実務経験もゼロの状態だったので、「遺言・相続」の分野に精通したカリスマ行政書士の研修に参加するなどしてスキル向上を図りました。それから、中野区周辺のポスティング、チラシ配り、ホームページ制作まで自力で行いましたね。チラシ配りは反応が薄いと思われがちですが、1000枚配ると1件問い合わせが舞い込んでくる、という状況なので、効果はある方だと思います。また、老人ホームや介護施設などでボランティアで行い、信頼関係を築いた上で、実際のお客様になっていただくケースもあります。何かを手本にするというよりも、いろいろな方のやり方を見ながら独自に進めてきた感じです。


�老人ホームなどで「ハーモニカ行政書士」としても活躍中の中道さん

老人ホームなどで「ハーモニカ行政書士」としても活躍中の中道さん


お仕事のやりがい、魅力は何でしょうか?


仕事をしていて一番嬉しい瞬間は、依頼を受けたときですね。電話、面談などを通じて私の人柄を知っていただき、受注したときは本当に嬉しいです。また、相続や民事の争いごとが裁判に発展する前に未然に食い止めることが出来るのは行政書士の仕事ならではの利点だと思います。裁判沙汰になってしまった場合、金銭的な解決は見込めるかもしれませんが、家族関係は崩壊してしまいます。そうした意味で、紛争を未然に防ぎ、街の身近な法律家として社会に貢献出来る行政書士という職業は、私にとって天職だと感じています。


「行政書士は天職」と話す中道さん

「行政書士は天職」と話す中道さん


お仕事の上で気をつけていること、心がけていることは何でしょうか?


相談にいらっしゃるお客様の中には、悩みぬいて困った挙句に私のもとにたどり着く、というパターンが少なくありません。お話される内容は、ご本人にとって厳しく、ハードで辛いこと、大変なことばかりです。そこで私としては、なるべく安心感を与えられるような対応を心掛けたいと思っています。そして「お客様にとって最善の策は何なのか?」ということを考え抜いて返答させていただくようにしています。行政書士といえど人間ですので、どうしても見方が偏ってしまったり、要点が抜け落ちてしまうことがあります。そうしたことが出来るだけないよう、誠意を持ってきちんと考えた上でご対応させていただいています。



「コネゼロ、経験ゼロ、貯金ゼロ」という何もない状態からスタートした私でも独立・開業し、これまで無事に仕事を続けてくることができました。行政書士に必要なのは体力と行動力、そして精神力です。タフで度胸があり、何があってもメゲずに続けていれば、必ず道は拓けます。起業するには勇気が必要かもしれませんが、一歩踏み出してしまえば何とかなるものです。是非皆さんも頑張って欲しいと思います。


行政書士   中道基樹 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
7:00 起床 朝食
9:00 出社  
10:00 社内 顧客と電話で打ち合せ
10:30 個別相談 相続に関する相談
12:00 外出 区役所、金融機関、銀行等へ各種届出
16:00 休憩 食事
17:00 帰社 書類作成
20:00 社内 広告に関する打ち合せ
22:00 社内 ブログ更新等、事務作業
23:00 帰宅 食事
24:00 就寝