実務家密着取材

直撃インタビュー
行政書士 沼田裕子さん

司法書士・行政書士   沼田裕子 さん

1981年埼玉県生まれ。親の転勤に合わせ、幼少期は札幌・大阪・青森等で過ごす。大阪大学法学部に在学中の2004年に司法書士試験に合格。2005年に司法書士登録し、大阪市内の司法書士事務所に入所。同年9月に簡易裁判所訴訟代理関係業務に認定。結婚を機に転居し、埼玉県越谷市の司法書士事務所に約2年間勤務。2008年に行政書士資格を得る。2009年9月に独立開業し、今に至る。

沼田裕子さんが代表を務める「沼田裕子司法書士・行政書士事務所」のホームページは下記のとおりです。
URL : http://numatanet.com


地元に密着!目指すは、「まちかど相談所」
司法書士と行政書士を併せ持つママさん所長

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは、活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は司法書士・行政書士である沼田裕子さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


私は司法書士と行政書士、2つの資格を保有しているので、両方の業務を行っています。業務の大半は司法書士案件で、「登記・供託」「債務整理」「成年後見業務」「裁判事務」などですね。そのほかにも、身近な法律トラブルの解決サポートをしています。具体的には、不動産登記や会社の登記・供託といった手続き、裁判所・検察庁・法務局への提出書類の作成、簡易裁判所における訴訟・調停・和解等の代理業務、企業法務、成年後見業務、多重債務者の救済処理も行います。また、埼玉司法書士会の越谷相談センターなどで、一般の方を対象に無料の法律相談会もよく開催しています。


沼田さんのオフィスは北越谷駅より徒歩3分

沼田さんのオフィスは北越谷駅より徒歩3分


資格を取得したきっかけを教えてください


入学したのは法学部で、学生の頃から法律家を志望していました。私は親から資格の大切さをよく聞かされていたので、「法律の資格を取り、その資格をいかした職業に就きたい」という思いがありました。そして、3年生になった時、自分の将来を真剣に見つめ直し、選んだのが司法書士という資格でした。最初はダブルスクールで勉強していたのですが、在学中に資格を取りたかったので、途中、半年間休学して勉強に専念しました。そして、在学中の2004年、司法書士試験に合格しました。


大学在学中、司法書士試験に合格

大学在学中、司法書士試験に合格


資格を取得してから、どのようにお仕事を進めていきましたか?


私は、大学在学中に司法書士の資格を取得したので、最初はインターンのような形で、大阪市内の司法書士事務所に勤務しました。債務整理や登記案件が多い司法書士事務所でしたが、さまざまな案件を通じて、一般常識や社会のルールも学ばせていただきました。それから結婚で転居したのを機に、越谷市の司法書士事務所に約2年間勤務しました。そこでは司法書士業務はもちろんそれ以外の業務、例えば行政書士業務を頼まれることもあったので、「いっそのこと、行政書士の資格も取ってしまおう」と試験を受けました。そして2008年に行政書士の資格を得て、いろいろと考えた末に翌年、独立開業しました。


2008年に行政書士の資格を取得

2008年に行政書士の資格を取得


開業してから、どのようにお仕事を進めていきましたか?


「自分のスタイルでやってみたい」と独立を決意し、開業しました。前にお世話になった事務所と同じ越谷市内で開業しましたが、『のれん分け』のようなことは一切ありませんでしたね。ただ唯一、成年後見業務だけは、お客様との関係上引き継ぎました。「少しは営業らしいこともしなければ…」と、一応名刺を持って挨拶回りもしましたが、貪欲に「新規開拓しよう」という感じでもなかったですね。越谷には司法書士と行政書士の女性が少ないこともあるのか、税理士の方をはじめとする他士業からのご紹介で開業当初から割とスムーズに案件が回ってきました。今も営業らしいことはホームページくらいで、口コミとご紹介が中心です。


お仕事の魅力、やっていてよかったと思うことについてお聞かせください


顔を合わせて仕事して、お客様から直接感謝の言葉をいただける。こういう職業につけているのは、本当に幸せですね。一般企業の場合、会社の中のひとりに対して、お客様から指名されて直接感謝されることってあまりないと思うんです。すべての責任を自分で取らなければならないというストレスはありますが、自分がしたことの結果がダイレクトに返ってくるというのは一番のやりがいですね。仕事をしていると、どうしても小さな失敗は日々あり、大変な思いをすることもあります。現在、家事と育児も並行していますが、自分でタイムマネジメントできるのも、独立開業できるこの仕事ならでは。マイペースで働ける環境があるのも、嬉しいですね。


沼田さんは一児の母でもある

沼田さんは一児の母でもある


お仕事される際に気をつけていることは何でしょうか?


行政書士や司法書士の有資格者は全国にたくさんいると思いますが、私の一番の強みは「親しみやすさ」だと考えています。司法書士・行政書士事務所を訪れる人は、何かを背負い、緊張しながら来る方々ばかりです。ですから、私はなるべく親しみやすい雰囲気作り・話し方をするように気をつけています。「ちょっと相談にきて、お茶を飲みつつおしゃべりして帰る」というくらいの気軽さで、お客様にいらしていただけるように心がけていますね。私は自分のキャラをよく把握して、ひとつひとつ丁寧に誠実な仕事をすることを第一に考えています。



司法書士も行政書士も、業務範囲が広いです。裁量次第で、特定の分野で専門領域を開拓出来るので、自分らしい仕事が出来ると思います。女性は結婚・出産のタイミングで、就く仕事も制限されると思いますが、資格があれば、場所に限定されずスムーズに独立・開業できます。私自身、今のワーキングスタイルでマイペースに仕事を続けられることは、本当に有難いと思っています。司法書士・行政書士は高齢化が進む一方、若い女性は少ないので、是非、若い女性の皆さんにチャレンジしていただきたいですね!


司法書士・行政書士   沼田裕子 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
7:00 起床 朝食
9:00 外出 子供を保育園に送る
10:00 出社 メールチェック
11:00 個別相談 顧客と相続に関する打ち合わせ
12:00 休憩  
13:00 外出 法務局へ書類の提出
15:00 外出 顧客へ書類提出
16:00 帰社 メールチェック、書類作成
17:00 退社  
18:00 外出 保育園に子供を迎えに行く
18:30 夕食  
19:30 入浴 子供と一緒に入浴し、寝かしつける
24:30 就寝