実務家密着取材

直撃インタビュー
行政書士 柳田亮子さん

行政書士   柳田亮子 さん

1966年東京都出身。短大卒業後、証券会社に入社。個人営業、窓口業務を中心に担当し、結婚後に退職。出産を経て、公認会計士松澤進事務所に勤務し、2002年に行政書士試験に合格。2004年に行政書士登録、2007年より「女性のための離婚相談Smilesupport」、「離婚協議書・離婚公正証書作成サポート」等のサイトを立ち上げる。後に柳田行政書士事務所を開業。日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー、絵本セラピスト、NPO法人カラーカウンセリング&会話心理学研究会認定カラー心理カウンセラー等多くの資格を保有する。

柳田亮子さんが代表を務める「柳田行政書士事務所」のホームページ及び柳田さんが運営するサイトは以下のとおりです。
女性のための離婚相談Smilesupport : http://www.smilesupport.net
離婚協議書・離婚公正証書作成サポート : http://www.office-yanagida.com


「コネや実績がなくても、結婚歴がある!」
メンタル面もサポートする家族法務の専門家

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は行政書士の柳田亮子さんから、お話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


現在、家族法務の専門家として、結婚、離婚、遺言、相続等、ご家族に関係する法務全般を取り扱っています。結婚契約書等のマリッジカウンセリングを行うほか、「女性のための離婚相談スマイルサポート」、「離婚協議書・離婚公正証書作成サポート」、2つのサイトを管理・運営しています。離婚については、離婚協議書及び離婚公正証書の作成代行、公正証書遺言・相続に関するご相談等、予防法務の立場からアドバイスし、権利を守る書類作成業務を行っています。また、「ハッピーライフサポーターズ」という東京23区で開業している女性士業チームを結成し、家族に起こる身近な問題を中心に、あらゆる問題解決に取り組んでいます。私は法律問題に留まらず、心のケアに重点をおいたサポートを得意とし、人と人とのつながりを大切にしながら、「日本の離婚率を下げるプロジェクト」等の活動も行っています。


資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


大学卒業と共に入社した会社を結婚退職し、10年近く専業主婦だったのですが、育児に少し余裕が出て来たため、個人の公認会計事務所にパートとして、勤務し始めました。そのうちに、「何か資格を取ろう」と思い立ち、図書館に通って勉強し、宅建を取りました。久々に勉強したのがやみつきになり、さらに法律の世界を突き詰めるべく、行政書士の勉強をスタート。2度目のチャレンジで無事合格しました。その後も、資格試験の世界にハマり、現在では、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー、絵本セラピスト、NPO法人カラーカウンセリング&会話心理学研究会認定カラー心理カウンセラー等の資格等も取得しています。


独立したきっかけは何でしょうか?


私は、行政書士の試験に合格後も、そのまましばらくの間、公認会計事務所に勤務し続けました。安定収入をいただいていたし、そんなに独立志向が強い方でもなかったので、なかなか独立開業に踏み切れなかったのです。その頃、自分の持っている強みが何なのか、いまいちよくわからず試行錯誤の状態でした。行政書士としての実績や経験もなければ、人脈もない。「記帳代行できる」といっても、税理士さんにはとても敵いません。そんなある日、「私には結婚歴がある!」と思い至りました。そして、2007年頃から「女性のための離婚相談スマイルサポート」を立ち上げました。会計事務所の勤務外の時間、平日の夜や土日を利用し、ホームページからの相談を中心に受け付けていたところ、問い合わせを多くいただくようになりました。サイト運営が軌道に乗ってきたところで、結婚・離婚等の家族法務を専門に柳田行政書士事務所として独立開業しました。


お仕事の魅力、やりがいは何でしょうか?


初めてお会いしたとき、悩みを抱えて憂い顔だったり、意気消沈していたお客様が自分の力で立ち上がり、やがて笑顔になる。その姿を間近で見ることが出来るというのが、この仕事の大きな魅力ですね。どんな方でも、多少時間がかかったとしても、必ず悩みを乗り越えられます。下を向いていたり、後ろ向きだった人が、前向きな姿に変わっていく様を見ると、私も頑張ろうという気持ちになりますね。法的にだけではなくメンタル面でもお客様をサポートできるこの仕事は、私に喜びと学びを与えてくれる天職だと思います。


お仕事の際に気をつけていること、心がけていることは何でしょうか?


家族の問題は、とてもデリケートなので距離感が大事だと思います。ですから、「闘う」「ジャッジする」ということはしないで、事実にのみフォーカスするように心がけています。不安や悩みをひとつひとつ抽出して、話を伺い、情報で解決できるものは解決する。行政書士はあくまで中立な存在ですので、ニュートラルな位置に立つようにしていますね。そして、「目の前の方が幸せになるために出来ることは何だろう」と自分の心に問いかけ、双方にとって円満解決になるよう、行動するようにしています。


今後の予定、夢を教えてください


2011年3月11日に起きた東日本大震災をきっかけにして、私の心の中で、ある変化がありました。私がこれまで積み重ねてきた、結婚や離婚に関する知識と経験をより多くの方たちとシェアしたいと思うようになったのです。そこで、「家族ホームカウンセラー」という名称のグループを立ち上げ、行政書士や他の士業の方たちと、カウンセリング力をつける勉強会を開催するなどの活動を行っています。今後も、人と人とのつながりを作り、さらに拡げていく活動を展開していきたいと思っています。


普通の専業主婦だった私は、経験も人脈もないまま、行政書士としてスタートしました。弁護士や司法書士、税理士が手掛ける業務の隣接部分に、ラインギリギリで踏み込んでいくだけではなく、行政書士だからこそ出来る仕事というものがあると思います。「問題を解決する」ことにフォーカスすれば、人それぞれ、さまざまな分野で活躍できる資格です。枠やしがらみ、常識にとらわれず、自分の得意とすることや持っているスキルをうまく組み合わせることが出来れば、スムーズに業務展開できると思います。あなたもチャレンジしてみてください!


行政書士   柳田亮子 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
7:00 起床 朝食、身支度
9:00 出社 メールチェック
10:00 外出 公証役場
12:00 昼食  
13:00 帰社 メールチェック
14:00 社内 クライアントと記帳代行についての相談
16:00 外出 主宰のワークショップ(絵本セラピー)の準備、開催
19:00 帰宅 夕食の準備、家事等
21:00 仕事 自宅にて、スカイプ電話相談(離婚相談等)
22:00 仕事 メール問い合わせ対応
25:00 就寝