福澤講師による行政書士試験内容の解説

平成27年度 行政書士試験内容の解説

1. はじめに

平成27年11月8日(日)に、平成27年度行政書士試験が実施されました。
受験された方は、本当にお疲れ様でした。
全部で60問、53ページに及ぶ長い試験ですが、ここで簡単に今年の試験問題を振り返ってみたいと思います。

2. 基礎法学(問題1~2)

基礎法学は、例年通り2問の出題でした。

問題1は、第二次世界大戦後に日本で生じた法変動という奇抜な出題内容となっています。このように1問目や科目の変わり目の最初の問題に、非常に奇抜な内容の出題をするのは、最近の行政書士の傾向です。その真意は分かりませんが、おそらく受験生の動揺を誘うためだと思います。

それにしても、基礎法学という科目に「第二次世界大戦後に日本で生じた法変動」というテーマが相応しいのかどうか、甚だ疑問の残るところです。基礎法学よりも、むしろ一般知識としての出題ではないでしょうか。

残りの1問は、判決と決定、命令の区別についての出題ですが、こちらもやや難しい問題ですが、肢の比較で正解できた方も多いのではないかと思います。

3. 憲法(問題3~7、多肢選択式)

まず、択一式ですが、例年通り5問の出題でした。人権が3問、統治が2問という内訳ですが、問題5で憲法9条に関する出題があったことが非常に目新しい内容となっています。

まず、問題3ですが、外国人の人権に関する判例知識を問う問題です。問題文の言い回しで少し迷う部分がありますが、全て著名な判例ですので、正解できた方も多かったと思います。

次に、問題4ですが、難易度の高い出題だと考えます。問題文で与えられた「生存権的基本権」の本来的な特徴の手掛かりに、それぞれの肢を検討することになります。この際に、全ての肢が自由権的基本権ではなく、生存権的基本権に関係があるという点で正解肢が確定しにくい内容となっています。

次に、問題5ですが、こちらも難易度の高い問題です。まず、オーソドックスにアからオについて詳細に検討しても正解が見えてこない場合には、選択肢の先頭がすべて異なる記号であることに着目して、先頭の文章がオとだけ見当をつけて正解を選ぶのも一手だと思います。

次に、問題6ですが、司法権の限界に関する著名な判例に関する出題ですので、必ず正解したい問題です。

最後に、問題7ですが、財政に関する条文知識の問題です。憲法87条の知識があれば正解できます。必ず正解したい内容です。

多肢選択式問題については、例年通り1問の出題でした。内容としては、公立図書館の職員である公務員が、閲覧に供されている図書の廃棄について、著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをすることは、当該図書の著作者の人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるという判例を下敷きにしたものとなっています。

おそらく、多くの受験生が初見の判例だと思いますが、現場で虫食い状態の本文を読んだとしても、事案の内容や判例の趣旨は十分に読み取れる内容だと思います。その意味では、多くの方が正解できたのではないかと思われます。

4. 行政法(問題8~問題26、多肢選択式)

まず、択一式ですが、例年通り19問でした。内容としては、全体を通じて平易だったと考えます。

ただし、問題8、問題9、問題10、問題17、問題20については、マイナー論点からの主題であり、正解にたどり着くのは難しかったかもしれません。

また、問題22では「大都市地域における特別区の設置に関する法律」の内容が問われることがあり、準備をしていなかった受験生の方は、非常に驚いたと思います。

しかしながら、上記以外の問題は、内容的には得点しやすい内容だったと考えます。多肢選択式は、例年通り問題42から問題43の2問の出題でした。

内容は、問題42については、最初の1行目を読んだ時点で「行政指導」についての記述だと予想ができるような難易度でした。この分野は、法改正があった分野ですが、行政書士試験では、法改正情報があった分野について、比較的すぐに出題に反映される傾向が高いと言えますので、当然、受験生側も警戒をしていた内容だと思います。

次に、問題43ですが、建築確認と行政指導に関する非常に有名な判例を題材とした出題です。その意味でも、この問題も正解できた方が多かったのではないかと思います。

記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。内容としては、行政事件訴訟法の著名な論点である原処分主義に関する出題ですが、与えられた事例も素直な内容となっており、ぜひ正解したい問題です。問題文の最後に「裁決取消訴訟の被告はどこか。また、こうした裁決取消訴訟においては、一般に、どのような主張が許され、こうした原則を何と呼ぶか」とあるのは、大きなサービスだと思います。

5. 民法(問題27~問題35、記述式)

まず択一式ですが、例年通り9問の出題となります。

全体の印象は、何問かはマイナー論点がありますが、比較的オーソドックスな内容に収まったという印象です。難問と平易な問題が、ちょうど半分くらい(平易な問題の方が少し多い)という感じです。

相隣関係、代物弁済、不法行為、婚約、婚姻および離婚の分野からの出題は、少し難易度が高く驚いた受験生の方も多いと思います。

しかし、それ以外では、制限行為能力、意思表示、留置権、債務の履行、贈与契約の分野からの出題は素直な内容の出題だったと思います。

記述式については、例年通り問題45、問題46の2問が出題されました。

まず、問題45についてですが、民法の他主占有が自主占有となる要件についての条文知識に関する出題でした(民法185条)。条文知識の出題ですが、普段、あまり気に掛けるような条文ではないので、難しく感じた方が多かったと思います。また、書き方によっては指定の文字数を大幅に下回ってしまう点も難易度を上げていると思います。

次に、問題46ですが、題材が嫡出否認の訴えということで、驚いた受験生の方も多かったと思います。ただ、嫡出否認の訴えを知っていれば、内容的には難しくはないと思います。

6. 商法・会社法(問題36~問題40)

商法・会社法は、例年通り5問の出題となります。

まず、問題36は商法からの問題です。運送営業と場屋営業に関する出題です。この分野は、過去問にも出題がありますが、多くの受験生が苦手とする分野だと思います。その意味では、商号や商業使用人などの分野が出題された場合よりも、正解率は下がると思います。

次に、会社法からは、設立、株式、機関などの重要は分野からの出題がありました。重要分野からの出題ということですが、決して取りやすい問題ではありません。また、続く最後の問題40(登記を必要とする事項についての出題)ですが、これも非常に難易度が高いと考えます。

今回の商法・会社法の分野では、全ての問題について難易度が高いという印象でした。

7. 一般知識(問題45~問題60)

一般知識については、まず、例年通り、問題58から問題60までは文章理解の分野からの出題でした。

次に、例年4問出題される、情報通信・個人情報保護の分野ですが、今年も問題54の「情報公開法及び公文書管理法」、問題55「情報セキュリテイの用語」、問題56「行政機関個人情報保護法」、問題57「位置情報」の4問が出題されました。例年と違うのは、とうとう個人情報保護法が出題されなかったことです。問題作成側に、ネタ切れという感じが色濃く感じますが、逆に、来年あたりは出題がありそうですので、来年の試験では、個人情報保護法の対策は手が抜けないと言えそうです。

最後に、政治・経済・社会の分野ですが、問題48「選挙制度」、問題49「貧困(生活保護を含む)」、問題53「高齢者」については、想定内の出題といえると思います。

しかしながら、問題51「空き家対策」、問題52「日本の島」については、例年、何問か出題される行政書士の業務とは、あまり関係のない内容の出題となっています。例年のこととはいえ、真剣に学習している受験生に対する対応としては、いかがなものかと思います。

なお、最近の傾向からは外れていますが、問題47「国連」、問題50「日本経済」についても意外とまでは言えない内容だと思います。

8. 結語

昨年の平成26年の試験が史上初の「補正措置」となり、試験を作成する側が、今年はどのような出題内容とするのかが、非常に注目された試験でした。

結論としては、昨年に比べるとマイナーな論点が減少したという印象です。しかしながら、依然として数問は出題意図に疑問が残るような問題がありました。

今後、受験される皆さんは、行政書士試験のこのような傾向を踏まえつつ、学習を進めていくことが大切だと思います。

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