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試験講評

平成29年度 行政書士試験の講評

2017/11/12

福澤講師による行政書士試験 講評動画
行政書士 試験講評

1. はじめに

 平成29年11月12日(日)に、平成29年度行政書士試験が実施されました。
 受験された方は、本当にお疲れ様でした。
 例年通り、全部で60問、53ページに及ぶ長い試験ですが、簡単に今年の試験問題を振り返ってみたいと思います。

2. 基礎法学(問題1~2)

 基礎法学は、例年通り2問の出題でした。
 問題1については、空欄エについての語句が分かりにくいと思いますが、刑法の分野の話題であることから、現場思考で正解を導けると思います。
 毎年恒例ですが、各科目の先頭の問題は、受験生に動揺を与えるような内容であることが多いですので、今回もこのような流れの出題内容だと思います。
 問題2は、選択肢に聞いたことも無いような語句を並べることで、問題1に続いて、受験生の動揺を誘う問題だと思います。

3. 憲法(問題3~7、多肢選択式 問題41)

 まず、択一式ですが、例年通り5問の出題でした。
 人権が2問、統治が3問という内訳ですが、比較的容易な問題が多かったと思います。

 次に、多肢選択式問題については、例年通り1問の出題でした。内容としては、北方ジャーナル事件という有名な判例ですので、おそらく、多くの受験生が正解できたと思います。

4. 行政法(問題8~問題26、多肢選択式 問題42~問題43、記述式 問題44)

 まず、択一式ですが、例年通り19問でした。内容としては、全体を通じて平易だったと考えます。
 問題8は、砂利採取法という、おそらく多くの受験生が初見の法律の条文を、長々と記載して、それを読んだうえで解答させるという形式の出題でした。内容的には、行政行為の撤回と取消しの相違を理解していれば簡単に正解が出せる内容ですので、科目の最初の問題にインパクトを与えて、受験生を動揺させようという意図だと思います。
 また、問題11などは、行政手続法1条の条文の穴埋め問題ですが、過去問を検討していれば、これまでに各法律の第1条が何度も出題されていることはご存知の通りです。したがって、これはサービス問題だと思います。
 問題21の穴埋め問題は、少し難易度が高いですが、現場で丁寧に判例の文章を読んでいくことで、空欄Ⅱにはアが入ることが分かりますので、あとは選択肢の並びから正解が導けると思います。
 さらに、問題25については、問題形式が珍しいことから、ちょっとびっくりしたかもしれませんが、落ち着いて読むと、問題文に「原審の判断を覆した最高裁判所判決の」という大きなヒントがあります。そこで、このヒントを手掛かりにして、原審の「建設大臣の裁量権の行使には濫用・逸脱は無い」とした判断を、最高裁が覆して「建設大臣の裁量権の行使には濫用・逸脱があった」という結論を出した、という筋道を立ててから、各選択肢の文章を読むと、比較的容易に正解に辿り着けると思います。

 多肢選択式は、例年通り問題42から問題43の2問の出題でした。
 内容は、問題42については、行政立法に関する出題、問題43は国家賠償請求と課税処分に関する判例についての出題でした。前者については、比較的容易だと思いますが、後者については、難易度が高く感じた方も多かったと思います。

 記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。昨年に続いて、今年も行政法の記述式は難しい問題でした。下敷きとなっているのは、宝塚市パチンコ条例事件(最判平14.7.9)です。実は、この判例は、平成27年の問題8に択一式の問題として出題されていました。なお、フォーサイトの過去問集には、詳細に解説が掲載されています。

5. 民法(問題27~問題35、記述式 問題45、問題46)

 まず択一式ですが、例年通り9問の出題となります。
 そして、恒例となりますが、最初の問題である問題27は、マイナー論点で受験生にインパクトを与えます。内容としては、組合契約に関する出題なので、ちょっと戸惑う受験生の方が多かったのではないかと思います。
 さらに、問題33、問題34は、非常に難しいと思います。試験も中盤に差し掛かる頃なので、受験生の集中力が切れて来る頃です。そのタイミングで、このような本格派の難しい問題を並べて、さらに受験生を混乱させる意図かもしれません。
 いずれにしても、今回の民法は、総じて難易度が高めだと思います。

 記述式については、例年通り問題45、問題46の2問が出題されました。
 まず、問題45についてですが、譲渡禁止特約付債権の無断譲渡の出題となっています。こちらは、難易度が高かったと思います。
 次に、問題46ですが不法行為による損害賠償請求権の時効消滅について、条文知識を書かせる内容となっています。こちらは、比較的正解できた方が多いと思います。

6. 商法・会社法(問題36~問題40)

 商法・会社法は、例年通り5問の出題となります。
 まず、問題36は商法からの問題です。商人の定義に関する出題です。
 次に、会社法からは、設立、株式、取締役の報酬、そして横断問題という出題内容となっています。
 今回の商法・会社法の分野は、比較的平易な内容だったのではないかと思います。

7. 一般知識(問題47~問題60)

 一般知識については、まず、例年通り、問題58から問題60までは文章理解の分野からの出題でした。
 次に、例年4問出題される、情報通信・個人情報保護の分野ですが、問題54、問題56は、情報通信の用語に関する出題でした。このうち、問題56については、比較的正解できた方が多かったと思います。
 さらに、問題57は、難易度が高いとは思いますが、出題可能性の高い分野なので、なんとか正解できたと思います。
 あとは、問題47はサービス問題ですが、それ以外は、一部の例外を除いて、行政書士の業務とは、あまり関係のない内容の出題となっています。例年のこととはいえ、真剣に学習している受験生に対する対応としては、いかがなものかと思います。

8. 結語

 法令科目については、まず、択一式については、内容の難易度はさておき、比較的オーソドックスな出題が多かったと思います。一部には、受験生の動揺を誘うような出題形式が散見されますが、予想の範囲内といえるものでしょう。
 次に、多肢選択式は比較的易しい印象です。下敷きとなっている事案を知らなくても、現場で丁寧に文章を読むことで、基本的な知識で対処できるものも多いと思います。
 最後に、記述式については、昨年同様に難しい印象でした。特に行政法については、その印象が強いです。

 また、一般知識分野では、例年通り、試験の目的からは外れるような出題内容が散見されます。この点は、今後も注意が必要だと思われます。
 今後、受験される皆さんは、行政書士試験のこのような傾向を踏まえつつ、学習を進めていくことが大切だと思います。

以上で、総評を終わります。
受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。

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