実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 柳原智宏さん

社会保険労務士   柳原智宏 さん

1970年東京都生まれ。大学を卒業後、都内銀行に入行。中小企業融資営業と中小企業融資審査業務に携わる。2001年に社会保険労務士を受験し、一発合格。2009年4月に社会保険労務士事務所「コンサルティング・オフィス・ヤナギハラ」を開業し、今に至る。

柳原智宏さんが代表を務める「コンサルティング・オフィス・ヤナギハラ」のホームページは
下記のとおりです。
URL : http://www.office-yanagihara.com


融資・審査に精通したキャリアをいかし、中小企業をバックアップ
「資金繰り」に特化したソリューション提案型の異色社労士

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは、活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は社会保険労務士である柳原智宏さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


お客様は100%中小企業で、顧問契約をいただいております。お客様からのご相談内容は、社会保険や労働保険の手続き、就業規則作成・変更、助成金の申請、給与計算、日々の労働問題の相談等についてです。また、私はサラリーマン時代、中小企業の融資・審査担当の銀行員だったこともあり、資金調達、資金繰り、財務、事業計画等経営全般に関するご相談が多く寄せられるのが大きな特徴ですね。ただし、後者の相談は無料で、ついでに行なってるサービスですので、とくに業務として行なってはいません。(とは言っても、多くの客様から御相談は受けますが・・・。)お客様の多くが事務所近くの中小企業で、製造業や建設業を中心に、いろいろな業種のお客様がおります。


元銀行員という経歴を持つ柳原さん

元銀行員という経歴を持つ柳原さん


資格を取るまでの歩みを教えてください


銀行に入行後、融資課に配属され、数店舗で中小企業融資営業、その後本店で融資審査業務を担当しました。当然ながら銀行の融資・審査業務と社会保険労務士とは全く無縁です。資格を取ったきっかけは、たまたま労働組合の執行部員となり、そこで初めて労働法の実務を勉強したことから社会保険労務士に興味を持ったことと、29歳のときにたまたま1ヶ月間入院したことです。入院中のベットの上で、今までの人生を振り返ってみたときに自分には何一つ努力してきた証がないことに気づき、人生で一度だけ何でもいいから自分の納得のいくまでチャレンジしたいと思ったことです。そこでたまたま最近知った社会保険労務士の資格取得を決意したってわけです。本業が忙しいなかでの資格取得ですので、結構大変だったと記憶しております。そして30歳で資格取得、40歳までに独立開業と漠然とただなんとなく決めていました。


柳原さんの顧客は『モノづくり』系の経営者が多い

柳原さんの顧客は『モノづくり』系の経営者が多い


資格を取得してから、どのようにお仕事を進めたのでしょうか?


開業したのは2009年4月です。中小企業の営業が得意だったのと、経営者と話をすることが好きでした(というより、それが仕事でした)ので、開業日から迷うことなく飛び込み営業を開始しました。田舎ですので、せいぜい回れても自転車で1日20?30件程度です。とにかくじっとしているのが嫌いな性格ですので、毎日の自転車での飛び込み営業は気分転換にもなりますし、いい運動にもなりました。社会保険労務士の飛び込み営業というのはあまり見ないらしく、中小企業の経営者や担当者の方からはかなり珍しがられましたね。成約率は50件に1件程度でしょうか。数ヶ月続けているうちにお客様は徐々に増えていきました。その後はお客様から徐々に新規のお客様をご紹介いただくようになり業務がだんだん忙しくなりました。結局飛込み営業をじっくりやったのは3?4ヶ月程度です。また、飛込み営業以外の営業は全くやったことがありませんので、ほかにどんな営業手法があるのかはよくわかりません。


30歳で資格取得38歳で独立開業

30歳で資格取得38歳で独立開業


お仕事の魅力、やりがいは何でしょうか?


社労士の魅力は独占業務があることです。独占業務があるということは社労士にしかできない業務ですので、これ以上の魅力はないと思います。それプラス何か得意分野があるとその魅力が一層UPのるのではないかと思います。やりがいは、お客様に信頼されたと感じるときです。お客様は法律論だけではなくその結果どうすることが会社にとってベストなのかの結論を知りたいのです。ですから社労士である以上、いかなるときもベストの結論を出したいと思っていますし、それができたときの喜びは大きいです。


社労士としての自覚、必要だと感じることは何でしょうか?


社労士で開業するということは、経営者となることです。経営者はすべてのリスクを取らねばなりません。また経営者となればサラリーマンと違い何処からも保護されることはありません。だから自由なのです。自由を選択して開業するということはその反対に多くの厳しい現実を受け止める覚悟が必要になります。当たり前のことですが、開業するにはまずは経営マインドを持つことが必要だと思います。また社労士の活かし方は十人十色です。私の場合はたまたま自分のサラリーマン時代の経験から中小企業専門の顧問社労士ですが、講師、年金相談、勤務社労士等、まだ開拓されていない分野を含め社労士の可能性は無限大だと思います。


社労士仲間と勉強会も行っているという柳原さん

社労士仲間と勉強会も行っているという柳原さん


全ての資格で言えることですが、自分が「やってみたい」と思った時にチャレンジすることが一番だと思います。確実にいえることは、社労士の資格を取ることで、人生の分岐点での選択肢は格段に広がります。まずは、自分を信じて、行動を起こしてみてください。


社会保険労務士   柳原智宏 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
7:00 起床 朝食
8:00 出社 メールチェック、書類作成等
9:00 個別相談 就業規則についての相談
11:00 外出 ハローワークへ
12:00 休憩 昼食
13:00 社内 相談のまとめ作業
15:00 社内 給与計算の書類作成
16:00 社内 手続き関係、事務処理等
17:00 退社  
18:00 帰宅 家族と食事、団欒
23:00 就寝