実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 坂田新悟さん

社会保険労務士   坂田新悟 さん

1981年埼玉県生まれ。2003年に駿河台大学現代文化学部を卒業後、東証一部上場の電子機器メーカーに勤務。4年半ほど在籍し、営業企画や販売企画をはじめとする法人営業を中心に担当。転職後は、小売店で販売職を経験。2008年より映像機器・音響機材のレンタル業を行う会社に就職。人事総務職を経験した後、2010年3月に開業。社会保険労務士事務所「ステラコンサルティング」を立ち上げ、今に至る。

坂田新悟さんが代表を務める「ステラコンサルティング」のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.stella-sr.net


社会的弱者や悩める人を障害年金という制度からサポート
個人に特化した“奏でる社労士”

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは、活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は社会保険労務士である坂田新悟さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


現在のメイン業務は、障害年金です。障害年金請求に関するご相談、障害年金請求手続きの代行、審査請求、再審査請求の代理をしています。お問い合わせは年間約400件、その中で契約まで至るのは1割強。すべて個人のお客様です。障害年金は幅広い疾患が対象となりますが、多くの一般の方には、あまり認識されていません。「働けない」「日常生活に支障がある」というだけでなく、勤務していても「特定の事実」として障害認定されるケースもあります。そういったことを周知し、正しく理解していただくために、障害年金のセミナーや記事の執筆も行っています。


障害年金に特化したサービスを提供する坂田さん

障害年金に特化したサービスを提供する坂田さん


資格を取得したきっかけを教えてください


“社会保険労務士”という言葉の響きが気に入ったから。そう話すと、多くの方に驚かれますが、もともと「独立したい」という思いは強く持っていました。実は、学生時代、「ステラ」という音楽ユニットを組んで、ストリートをメインに活動していました。オーディションで最終選考まで残ったり、インディーズ事務所と契約し、CDをリリースしたこともありました。しかし、さまざまな事情からプロのミュージシャンの道を諦めざるをえなくなり、一般企業に就職しました。電子機器メーカーで企画の段階から営業に携わり、4年半ほど勤めたのですが、新天地を求めて小売店の販売職へと転職しました。ところが入社後、そこが残業・休日出勤は当たり前、労働法スレスレのブラック企業だと気付き、愕然としました。その後、無職となり、響きが気に入っていた“社労士”の勉強をスタート。「いつかは独立・開業を」と思いながら、受験しました。


“ステラ”というユニットでCDもリリース

“ステラ”というユニットでCDもリリース


社労士としてのキャリア、歩みについて教えてください


社労士試験を受けた後に就職したのは、映像機器・音響機材のレンタル業を行う会社でした。人事総務職に就き、給与計算から勤怠管理、障害者雇用や求職者の対応を担当しました。そこで障害年金についての知識を身につけました。社労士の王道パターンは法人の顧問をたくさん取ることだと思いますが、差別化をはかるというだけでなく、立場の弱い人、悩んでいる人に対して出来るだけのことをしたいという思いから、障害年金に特化した個人向けのサービスを提供することにしました。ウェブサイトを作り、最初はサイドビジネスでスタートしましたが、徐々に軌道に乗り始め、成功報酬がある程度安定して入るようになってから、独立しました。


坂田さんは社労士試験に一発合格

坂田さんは社労士試験に一発合格


お仕事のやりがいは何でしょうか?


お客様から面と向かってお礼を言っていただけることです。障害年金は請求から支給まで時間がかかりますが、最後に「ありがとう」と言っていただけると、「この仕事をやっていてよかった」と実感します。障害や病気で困っている方、悩んでいる方はたくさんいますが、多くの方はなかなか一歩が踏み出せないと思います。その一歩を踏み出してくださった方に、自分が少しでも報いることが出来たと思うと、本当に嬉しいですね。


坂田さんは個人に特化したサービスを提供

坂田さんは個人に特化したサービスを提供


社労士の自覚、必要と感じる資質は何でしょうか?


どんな職業でも一番大事なのは、まず仕事を取るということだと思います。よく「人脈が大事」と言われますが、「仕事を取る」ことを人脈に頼ってはダメだと思います。そこを他人に依存しないこと。あとは、出来る事と出来ない事の見極めが大切です。出来ない事はきちんと断る勇気も必要です。特に私がメイン業務にしている障害年金は、お客様の将来、未来に関わる重要なものなので、簡単に安請け合い出来るものではありません。私が受けた案件に関して、不支給となったケースは、これまでありません。基本的に出来ないことは引き受けないようにしています。お客様の期待を裏切らないことが大事だと思います。プロとしての自覚を持ち、誠実にお客様と接することが大切だと考えます。


ギターは趣味として継続。去年はライブも開催

ギターは趣味として継続。去年はライブも開催


今後の予定、夢についてお聞かせ下さい


事務所の“ステラ”という名前は、学生時代のユニット名に由来しています。当時の仲間と「またいつか一緒にやりたい」と思っていましたが、ようやく実現できることになりました。これからは二人で、実績を積み重ねていきたいと思います。また、個人向けの新規ビジネスの立ち上げも考えています。立場の弱い人、悩んでいる人の助けになり、支えになるサービスを提供していきたいと考えています。



独立すると、いろいろ大変なこともありますが、私の場合、毎日がとても楽しいです。真面目にきちんと仕事をやっていれば、必ず食べていけます。逆に言えば、きちんとやらなければ、食べていけません。それは、どの職業でも一緒だと思います。まずは、試験を頑張って突破してください!


社会保険労務士   坂田新悟 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
7:00 起床 メールチェック
8:00 朝食 子どもたちと一緒に
10:00 出社 障害年金に関する書類の作成
14:00 昼食  
16:00 外出 年金事務所で手続きの申請
18:00 帰社 メールチェック、書類の作成
21:00 退社 愛車のバイクで帰宅
21:30 夕食  
24:00 就寝