社会保険労務士の後藤正英さん さんにインタービューをしました。

実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 後藤正英さん

社会保険労務士

後藤正英さん

「将来は今この一瞬の延長線上にある」
続ける力、耐え忍ぶ力を養いひた走る
ランナー社労士

1994年 宅地建物取引主任者資格取得
1995年 東洋大学法学部を卒業
1995年 住宅販売会社に就職も、99年に会社が廃業
1999年 社会保険労務士資格取得
2000年 都内の社会保険労務士事務所に入所
2001年 後藤社会保険労務士事務所を開業


URL : http://www.sr-goto.jp

社会保険労務士の後藤正英さんは、人材採用、労使トラブルの予防や解決、給与計算代行、助成金申請など、労務管理のパートナーとして中小企業をバックアップしています。大学は法学部に進んだものの、特に将来の進路を考えて選択したわけではなかったとのこと。在学中に宅地建物取引主任者の試験に合格したこともあり、卒業後は住宅販売会社に就職し、営業職として働きます。しかし、本当に関心を持っていたのは人事・労務の分野でした。その目標を実現させて現在に至る後藤さんに、どのように道を切りひらいてきたのかお話しいただきます。

将来の進路へ導いた一冊の経済小説

大学に入学した後藤さんは学業のかたわら、東京・大手町の書店で臨時社員として働き始めました。夜間の学部だったため、勤務は日中。この書店での仕事中に、一冊の本との運命的な出あいがありました。

「文庫の整理をしているときでした。高杉良の『大逆転! 小説 三菱・第一銀行合併事件』が目にとまりまして。法学部の独占禁止法の授業で参考になるかも、ぐらいの気持ちで読んでみたのですが…、我ながら驚くほどハマりました」

書店で働くほどの本好きだったとはいえ、経済小説との接点はこれが初めて。

「働くということ、会社と社員との関係について考えるようになりました。それ以来、人事や労務の分野への関心が高まっていったのです」

大学3年時、勉強の時間を増やそうと、昼間の学部に転部。結果、それまでの生活よりも時間的な余裕ができたことから、資格試験への挑戦を始め、1994年に宅地建物取引主任者資格を取得します。

「宅建の試験に合格できたのはうれしかったですが、会社に入ったら総務・人事系の職種に就きたいというのが本音でした。しかし、就職氷河期に突入していた当時、私のような私大文系の学生には、営業職以外の求人は少なかったですから…」


勤め先が突然廃業し、思わぬピンチに

大学卒業後、就職したのは建売住宅の施工販売会社。職種は営業でした。

「はっきり言いますと、一番の希望職種ではありませんでしたね。父の仕事は建設関係でしたし、いざ営業職もやってみたら、押しの強い性格とはいえない私でも買ってもらえるんだな、ってわかると面白くて。ええ、上司や同僚との関係も含めて、居心地のいい会社でした」

モデルハウスでの接客、お客さまの住宅ローン手続き、下取り物件の調査、設計や施工の打ち合わせ、販売チラシ作成など、イメージしていたより幅が広く、興味も深まったという営業。それでも人事・労務への関心がなくなることはありませんでした。

「在職中に社会保険労務士の試験勉強を始めました。でも、2回受験して不合格。それで予備校の講座に申し込みをした矢先、勤めていた会社が廃業してしまったのです」

自分の居場所が突然なくなるという事態に、後藤さんは「今度こそ社労士試験に合格しなければ」と、いっそう奮起。「もう会社に頼る生き方はするまい。そう心に誓って、勉強に集中しました」


29歳の誕生日に社労士事務所を開業

高校生の頃までは、コピーライターの仕事にあこがれていたという後藤さん。言葉を使いこなすことへの興味から、本もよく読んでいたそうです。

「学生時代、講義ノートをうまくまとめるのも得意でした。社労士資格の受験予備校でも、講師が板書した以外の言葉をテキストの余白に書き込んだりして、自分なりに工夫したテキストにしました」

その努力が報われたのは、1999年11月。ついに社労士の資格を取得し、翌年3月から都内の社会保険労務士事務所で働き始めます。

「その事務所には求人に応募して採用されました。就業規則、労災申請、助成金、給与計算、行政調査の対応など、どれも本当に自分が扱いたい分野でしたから、毎日仕事で帰りが遅くなっても、とても充実していたことを思い出します」

社労士事務所での1年間の勤務を経て、2001年に「後藤社会保険労務士事務所」を開業。29歳の誕生日のことでした。独立当初はワンルームのアパートでのスタートだったそうです。

「同世代の友人がほとんど会社勤めという年代での独立でしたが、不安より期待のほうが大きかったですよ。勉強や実務で自信をつけていたこともありますし、たとえ失敗したとしても、まだこの年齢ならやり直せるという楽観的な気持ちもありました(笑)」



いざはじめてみると、開業した月から仕事は順調に入ってきたとのこと。順調な滑り出しです。

「ダイレクトメールを印刷する輪転機を知り合いから無料で使わせていただくなど、人とのつながりに恵まれました。そうそう、ダイレクトメールのキャッチコピーを考えるのは楽しかったですね。それこそコピーライター気分で(笑)」

「今の延長線上に将来がある!」 継続力と忍耐力を養って

開業3年目あたりで軌道に乗った事務所は、2004年に現在の東京・板橋へ移転しました。JR埼京線の板橋駅、都営地下鉄三田線の新板橋駅から至近という好立地。活動範囲は、池袋、練馬、新宿を初めとする東京23区から、出身地である埼玉県内、さらに千葉県内にも及びます。

「社会保険労務士のひとりとしてというより、『後藤さんならなんとかしてくれるかも』というような思いでご相談してくださるお客さまが増えてきました。ですから、お客さまのそばにいつもいて、お互いに顔の見える関係でありたいですね。特に雇用のミスマッチに対する取り組みに役立てればとがんばっています」

趣味は「最近は小川洋子さんの本をよく読んでいます」という読書のほか、ゴルフやランニングといったアウトドアのスポーツも。

「ランナーとしては駅伝も含めて、年に5つぐらいの大会に参加しています。沖縄の名護で開催された大会では、観光も楽しんできました。暑い時季以外は、平日だと毎日ではありませんが、仕事の後に近所を1日5キロから10キロ程度、土日は皇居で走っています」

お話の最後に、資格取得をめざす受験生へのメッセージをいただきました。「勉強でも試験でも、今この瞬間の延長線上に将来があるのだという意識を持ってほしいです。それともうひとつ、風向きが自分のほうに来るまで、気長に待とうという気持ちも必要でしょうね」

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