中小企業診断士講座の講師ブログ

みなさんこんにちは。
フォーサイト中小企業診断士講座、講師の小嶋です。

今回はタイトルにもあるように2次試験事例Ⅳ経営分析の攻略法、手順をご説明していきたいと思います。

中小企業診断士第2次試験は正解のない試験と言われ、対策が難しい試験です。
そのような試験においても一部型にはめて対応できる部分も存在し、その最たる例にあたるものとして、事例Ⅳ第1問の経営分析が挙げられます。

たまにイレギュラーはありますが、基本的には「収益性」、「安全性」、「効率性」の代表的な経営指標を選択し、前年度と比較して改善している指標と悪化している指標を選択します。
(比較対象が同業他社の場合は優れている指標と課題となる指標の選択ですが、内容的には同じことです。)

取り掛かりとして、「まずは事例文を読み、事例文から選択する財務指標にあたりをつける」というやり方と「まずは財務諸表から代表的な財務指標にあたりをつけて、事例文で確認する」というやり方が2つ考えられますが、私は後者を推したいと思います。

「まず事例文から読む」場合の問題点として、
・指摘内容の分かりやすさが年度によって異なる
・事例文の記載から財務指標の数値にあたりをつけることは、初学者にとっては難易度が高いことが多い

という点が挙げられます。

また、事例文からあたりをつけたとしても、結局は主要な指標の大きさの関係については、確認することになると思います。

財務諸表から確認する場合の手順は
① 主要な指標をざっと見る
② 数値に顕著に差があるもの有力候補とする
③ 事例文の関連する記述をみて経営指標を選択する
となり、無駄のない合理的な手順だと考えられます。

ただし、この方法を採用する上での懸念点として、「事前に経営指標を事例文から絞り込まなければ、計算の負担が大きくなり、結果としてより時間がかかるのでは」ということが挙げられます。
しかし、経営指標を数値的に確認していく上で、一つ一つ計算して算出するのではなく、簡単な概算で済ませることができれば、その懸念は解決されます。

概算の方法は「比較対象と、売上高の比を基準として比較する」ということです。
例えばD社と同業他社の売上高総利益率を比較したい場合、2社間の売上高の比を確認し、同業他社はD社の約1.5倍だとします。次に売上総利益を比較し同業他社はD社の約1.3倍だとします。すると、この時点で同業他社はD社より売上高総利益率は低いことが分かります。
(同業他社はD社と比べて売上高が1.5倍であるにも関わらず、売上総利益が1.5倍より小さいのであれば、売上高総利益率はD社より小さいと判断できる)
この方法のいいところは比率にあまり差がない場合をのぞき、算出しなくても経営指標の大小、差の大きさの程度まで、大体判別できてしまう点です。

また、「売上高を基準とする理由」は、収益性、効率性の経営指標はほとんどが売上高が関連するものとなっており、ほとんどの経営指標の大小を売上高を基準として判断できる、という点です。
※フォーサイト2次試験対策では、上記の方法で解法を統一しています。

このやり方を身に着け、短時間で第1問を攻略できるようになれば、第2問以降にあてられる時間が長くなり、事例Ⅳ攻略にあたって優位に立つことができます。

経営分析において、自身の型がまだ明確になっていない、という方はぜひ参考にしていただければと思います。