中小企業診断士講座の講師ブログ

「新型コロナに学ぶ数字の見方」

みなさん、こんにちは!
中小企業診断士の黒澤です。

多くの企業が在宅勤務から通常勤務へと戻しつつあるところですが、
毎日の感染者数は増加の一途を辿っています。
特に東京圏に在住の方は、毎日の感染者数の速報値が気になるところではないでしょうか。
私たちは、どうしてもわかりやすい感染者数(実数)に目を向けがちで、
「4月の最高値を超えたじゃないか!」と驚くのですが、
多くの専門家は「今の状況は4月初旬とは違う」と口々に言います。
そこには様々な専門的理由がありますが、
医学的知識がなくてもわかる、さらに診断士の勉強をしている人にはぜひわかってほしい、
「数字の見方」があります。

財務会計で学ぶ「利益率」を思い出してみましょう。
例えばA社とB社を比較してみましょう。
A社:売上高100億円、利益1億円
B社:売上高1億円、利益1,000万円
「利益率」を知らないと、実数で比較をし、
「A社の方が売上高が高く、多くの利益を出しているので、A社の方が優秀な企業である」という見方をしがちです。
でも実は、A社は資産100億円、B社は資産1,000万円であるとしたら、
A社はB社の1000倍の資産を持っていることになるので、
売上高や利益の額が多いのは当たり前なわけです。
それよりも、「売上高利益率」(売上高に対する利益の割合)を比較すると、
A社は1%、B社は10%となり、B社の方が収益力が高いということになります。
「割合」で比較すると、企業の規模に左右されない、真の収益力が測れるというわけです。

新型コロナウィルス感染者数の今の状況は、
4月時点よりPCR検査数が格段に多いので、感染者数が多いのは想定内というわけです。
一方で、PCR検査の陽性率は4月と比べて低く、さらに重症者数も格段に減っています。
だから安心できるというわけではありませんが、一つの数字だけで判断するのではなく、
他の数字との組み合わせによっては、違った答えも見えてくるということを知っておきたいですね。