ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

民法の成年年齢引き下げに伴う措置

税制改正

皆さん、こんにちは。
フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

質問
平成31年度の税制改正について教えてください(4回目)。

回答
平成31年度税制改正の中で、今後の仕組み自体に影響が出るものとして、
「民法の成年年齢引き下げに伴う措置」を挙げることができます。
2022年4月以降の話のため、まだまだ先にはなりますが、
今後どこかのタイミングで該当するお客様、そのお子さまには話をしておきましょう。
 民法では、現状は成年年齢が20歳となっています。
これが2022年4月1日から18歳へと変更される予定です。
この結果、相続税や贈与税の計算で成年年齢が絡む項目についても、
改正が行われることになります。改正ポイントは以下の通りです。

(1)相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢
   20歳未満が18歳未満に改正されます。
(2)相続時精算課税制度(住宅資金の特例を含む)の適用を受ける受贈者
   20歳以上が18歳以上に改正されます。
(3)非上場株式等・特定事業用資産に係る贈与税の納税猶予の対象者である後継者
   20歳以上が18歳以上に改正されます。

 これらの措置に伴い、NISA制度も18歳以上が対象へ、
ジュニアNISA制度は18歳未満が対象へと年齢が変わる見込みです。
こうした内容はまだ先のため、今話をするとお客様がかえって混乱する恐れがあります。
2020年後半から2021年にかけて
運用のアフターフォロー時などに話をしてみるとよいと思います。
 この他、子育て関連として、
「合計所得135万円以下の未婚の一人親世帯の税負担軽減」について解説します。
これは、児童扶養手当の受給者で、前年の所得が135万円以下の一人親の場合、
未婚で子どもが生まれた場合でも住民税を非課税とする措置です。
 実は、離婚や死別の場合で前年の所得が135万円以下の一人親の場合には
すでにこの仕組みが設けられていました。
この仕組みを未婚の一人親にまで拡充することになったのは、
昨今の子育て世帯の状況に合わせた措置といえます。
このほか、所得税の寡婦控除が未婚の一人親には適用されない分、
特別手当として年17,500円(平成31年度)が支給されることになります。
 最後に、自動車関連税制として、2019年10月以降に購入する新車の自動車税が
最大4,500円減額される点を解説しておきます。
排気量が1,000cc以下の自家用車では自動車税が4,500円減税されます。
軽自動車は据置きとなり、排気量が高くなるにつれて減税額も少なくなる見込みです。
 以上、平成31年度の税制改正から皆様、
お客様に影響が出そうな内容を解説していきました。
コンサルティング等で是非お役立てください。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。
次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
平成30年中に契約した生命保険に付加されている傷害特約に係る保険料は、
介護医療保険料控除の対象となる。

<解答> ✕
傷害保険関連は、保険料控除の対象となりません。
また、自動車保険、火災保険、財形保険は原則として保険料控除の対象となりません。

【問題2】
自動車損害賠償責任保険において、被害者1人当たりの保険金の支払限度額は、
死亡の場合は3,000万円、後遺障害の場合は5,000万円である。

<解答> ✕
自動車損害賠償責任保険において、被害者1人当たりの保険金の支払限度額は、
死亡の場合は3,000万円、後遺障害の場合は4,000万円となります。
金額はしっかり覚えておきましょう。

いかがでしたでしょうか?
それではまた次回、お楽しみに★