ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

消費税に関する税制改正内容

皆さん、こんにちは。
ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太です。
前回に続き、令和2年度の税制改正の主なポイントについて、3回にわけて解説していきます。

今回は、消費税に関する税制改正内容を解説します。

令和2年度の税制改正により、法人に係る消費税の申告期限を延長する特例が創設されます。これは、消費税率が10%、軽減税率が8%になった措置といえ、企業の事務負担の軽減や平準化を図る観点から、本来の申告期限よりも1ヵ月延長できるものです。
例えば、消費税課税対象の法人があり、3月決算であったとしましょう。この法人の場合、3月31日に決算を迎え、その後2ヵ月以内に消費税の申告を原則として行う必要があります。本来は5月31日までに申告し、納税する必要があるのですが、これを6月30日まで延長することができるようになります。
ただし、延長する場合には、利子税がかかることになりますので、基本的にはこれまでの原則通り申告していき、どうしても間に合わない場合などには延長できる、とみておいた方がよいでしょう。令和3年3月31日以後終了する事業年度末の属する課税期間から適用します。

もう一つ、投資用の不動産をお持ちもしくは今後取得されるお客様がいた場合に注意していただきたいのが、金の売買です。
本来、住宅の貸付けのための建物の取得に係る仕入税額については、そもそも家賃が非課税であることに伴い、仕入れ税額控除の対象となるべきものではありません。
しかしながら、金の売買を用いて、消費税の課税売上割合を高めることで、建物に関して仕入税額控除の適用を行うケースが見受けられるようになってきました。これにより、消費税還付を受けるというスキームです。
しかしながら、令和2年10月1日以後に行う居住用賃貸建物の仕入れについて、仕入税額控除制度の適用を認めないこととなりました。賃貸用建物を購入し、その一方で金を売買し、消費税還付するといったスキームは今後利用できません。

なお、令和2年3月末までの契約に基づき取得した居住用賃貸建物については、一定の経過措置が設けられる見込みです。こうした抜け穴とも言えるスキームは今後さらに厳しくなっていくものと想定されます。
基本的には、一般のお客様というよりかは富裕層のお客様で行っているケースが多いのでは?といえるものであり、該当するお客様がいないかどうか、いる場合には今後の対応は考えられているかどうかは聞いておかれた方が良いでしょう。守るべき所はしっかり守り、節度のある税金対策などをこころがけることが望ましいです。

 
<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。
次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
公的介護保険の第2号被保険者のうち、前年の合計所得金額が220万円以上の者が介護サービスを利用した場合の自己負担割合は、原則として3割である。

<解答> ✕
公的介護保険の第1号被保険者のうち、前年の合計所得金額が220万円以上の者が介護サービスを利用した場合の自己負担割合は、原則として3割となります。第2号被保険者は、所得に関わらず1割負担です。

 
【問題2】
遺族厚生年金の年金額は、原則として、死亡した者の厚生年金保険の被保険者記録を基に計算された老齢厚生年金の報酬比例部分の3分の2相当額である。

<解答> ×
遺族厚生年金の年金額は、原則として、死亡した者の厚生年金保険の被保険者記録を基に計算された老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額となります。

 
いかがでしたでしょうか?
それではまた次回、お楽しみに★