ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

国際課税部分と納税環境整備

皆さん、こんにちは。
ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太です。
令和2年度の税制改正の主なポイントについて、3回目の解説となりました。
今回で税制改正解説は最後です。

今回は、国際課税部分と納税環境整備の部分から解説していきます。

近年、マネーロンダリング防止や海外への資産移動による脱税防止などのために、世界各国にて非居住者に係る金融口座情報の自動的交換が行われています。
既に110ヵ国以上が参加しており、海外で口座開設を行う時などには、マイナンバーが求められるなど金融口座情報の交換が金融当局同士で行われる体制になっています。
日本は、2015年度(平成27年度)税制改正において、金融機関による非居住者の口座情報の税務当局への報告制度を整備し、2018年(平成30年)から交換を開始しています。
今般、この報告制度を共通報告基準により忠実に従ったものとするとともに、金融機関の負担を軽減する観点から、報告制度の対象となる者の範囲やその居住地国の特定方法等について見直しが行われます。よりスムーズに特定・報告できるような措置が設けられる模様です。

次に、国外財産調書制度等の見直しです。
毎年年末時点で国外に5000万円を超えて金融資産を保有する者は、税務署に申告する必要があります。今回、国外において行われた取引等に関し、納税者による適切な情報開示を促す観点から、①国外財産調書制度及び②更正決定等の期間制限について見直しがなされます。
①国外財産調書制度について、税務調査において納税者が指定された期限までに必要な資料を提示・提出しない場合には、加算税が加重されます。令和2年分以後の所得税又は令和2年4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税について適用されます。
②納税者が必要な資料を提示・提出せず、税務当局が外国税務当局に対して情報交換要請を行った場合、その期間制限にかかわらず、当該要請から3年間は更正決定等を行うことを可能とします。令和2年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。より厳しい措置がとられることになりました。

最後に、利子税・還付加算金等の割合の引下げについて解説します。市中金利の実勢を踏まえ、利子税・還付加算金の割合が見直されます。
現行では、貸出約定平均金利+1%ですが、令和3年1月1日以後の期間に対応する利子税・還付加算金等においては、貸出約定平均金利+0.5%となります。細かい点ではありますが、念のため知っておかれると良いでしょう。

以上、主な税制改正項目について解説してきました。FP試験対策、実務等にてお役立てください。

 
<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。
次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
終身年金では、被保険者が同年齢で、基本年金額や保険料払込期間、年金受取開始年齢など契約内容が同一の場合、保険料は被保険者が女性の方が男性よりも高くなる。

<解答> ○
平均寿命が女性の方が長いため、終身年金の保険料は、契約内容が同一であれば、男性よりも女性の方が高くなります。

 
【問題2】
交通事故傷害保険では、海外旅行中の交通事故によるケガは補償の対象となる。

<解答> ○
交通事故傷害保険は、国内外において、交通事故により傷害を被った場合などに保険金が支払われます。

 
いかがでしたでしょうか?
それではまた次回、お楽しみに★