ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

真面目な年金の話③

皆さん、こんにちは。
ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太です。

前回、前々回に続き、
わが国の公的年金の特徴について確認していきましょう。

(5)マクロ経済スライド
公的年金額は、毎年度、賃金や物価の変動に応じて
自動改定する仕組みとなっています。

この仕組みがあるため、仮に物価や賃金が
上昇すれば、年金も自動的に金額が増える(実質的には維持する)ことになります。

これだけ見ればよい仕組みといえますが、
もちろん、現状の少子高齢化を考えると
年金財政の維持も考えていかなければなりません。
そこで実施されているのが、マクロ経済スライドです。

マクロ経済スライドとは、年金額は賃金や物価の変動を考慮するほか、
年金を支える現役人口の減少や平均余命の伸びを年金額に反映する仕組みです。

つまり、賃金や物価が上昇すれば年金額は上がる反面、
現役人口の減少や平均余命の伸びは年金額を下げることにつながるため、
マクロ経済スライドが発動されれば、実際には年金額は賃金や物価が
上がるほどは伸びないことになります。

マクロ経済スライドは、平成27年度において初めて実施されました。
2015年度の名目年金給付額は、2014年に消費者物価が上昇したため、
16年ぶりに増加することになります。

しかしながら、本来なら、物価上昇を加味した
名目手取り賃金上昇率2.3%を年金給付に反映させるところ、
増加幅が物価上昇分よりも抑制され、年金の価値は目減りする格好となったのです。

具体的にはマクロ経済スライドによる0.9%と、
過去のデフレ(物価下落)期に年金給付を下げなかった
特例水準の解消分0.5%を差し引き、0.9%の増加にとどめることになりました。
その後、何回かマクロ経済スライドは実施されています。

こうした5つの特徴を持つのが公的年金です。
再度確認しておいてくださいね。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。
次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
ガン保険では、ガンによる入院により
被保険者が受け取る入院給付金については、支払日数の上限がある。

<解答> ✕
ガン保険では、ガンによる入院により被保険者が
受け取る入院給付金について、支払日数に制限はありません。
長く闘病する可能性もあることから、日数は限定されていないのです。

【問題2】
終身年金では、被保険者が同年齢で、
基本年金額や保険料払込期間、年金受取開始年齢など
契約内容が同一の場合、保険料は被保険者が女性の方が男性よりも高くなる。

<解答> ○
同じ条件で同じ年齢の場合、
女性の方が平均寿命が長いことから、
終身年金の保険料は女性の方が男性よりも高くなるといえます。

いかがでしたでしょうか?
それではまた次回、お楽しみに★