ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

電子帳簿保存法の改正が中小企業の事務負担軽減に?①

皆さん、こんにちは。フォーサイトFP専任講師の伊藤です。

今回から数回に分けて、電子帳簿保存法の改正を取り上げたいと思います。2022年1月から電子帳簿保存法が改正され、これにより多くの企業が電子データの保存に前向きとなる可能性が出てきているためです。

■コストや負担軽減へ

電子帳簿保存法とは、国税に係る帳簿書類の保存について、電子データによる保存を認める法律です。実は1998年に既に施行されているものの、実際に電子帳簿保存が進んでいたかというとそうでもない実態があります。
様々な理由があると言えますが、その主な理由として、これまでは電子帳簿保存を行おうと思った場合、電子帳簿保存を開始する3ヵ月前までに申請し税務署長などの事前承認を受ける必要があったこと、紙から電子データへの保存に移行するためには社内の運用ルールを変える必要があること、領収書など国税関係書類をスキャナーで読み取り、保存する場合に、受領者が自署した上で3営業日以内のタイムスタンプを付与する必要があったことなどを挙げることができます。要は手間がかかる、面倒といった理由からなかなか進まなかったのです。

国税庁「令和元年度統計年報-2 直接税 法人税」によれば、会社等の申告法人数は271万1千社。これに対して、国税庁「電子帳簿保存法に基づく電磁的記録による保存等の承認状況」によれば、令和元年度時点での電子帳簿保存の承認を受けているのは27万2千社です。およそ1割しか電子帳簿保存が行われていないのです。
そこで今回の改正により、よりハードルを下げ、電子帳簿保存が進むようになる見込みです。政府が進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環であり、中小企業や農家さんなど自営業者でも電子帳簿保存が進む可能性があります。

続きは次回お楽しみに。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
書面によらない贈与においては、その履行がなされていない場合であっても、各当事者は契約の解除をすることができない。

<解答> ✕
口頭などでの贈与契約は、その履行がされていない場合には契約の解除が可能です。

【問題2】
負担付贈与では、受贈者がその負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、贈与者は、原則として、当該贈与の契約の解除をすることができる。

<解答> ○
自動車ローンがまだ返し終わっていない自動車を贈与するけども、残っているローンの支払いよろしく。こうした贈与は負担付贈与と呼ばれます。もし貰った人がローンの返済をしない場合には、催告を行います。それでもローンを返済しないといった状況の場合には、贈与者は贈与契約の解除が可能です。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★