ファイナンシャルプランナー講座の講師ブログ

電子帳簿保存法の改正が中小企業の事務負担軽減に?②

皆さん、こんにちは。フォーサイトFP専任講師伊藤です。

前回の続きとして、電子帳簿保存法の改正を取り上げたいと思います。

■事前承認が廃止され、タイムスタンプの要件が緩和される

電子帳簿保存法の主な改正は以下の通りです。

(1)事前承認制度の廃止
電子帳簿保存に関して、税務署長などによる事前承認制度が廃止されました。これにより、事前に承認を得る必要がなくなりました。そして、電子帳簿保存法で求められている機能を備えているスキャナーや会計ソフトを整備することで、電子帳簿保存を行うことができるようになりました。

(2)タイムスタンプ要件の緩和
以前は、領収書などをスキャナーで読み取り、保存する場合に受領者が自署した上で3営業日以内のタイムスタンプ(電子化された書類に付与される時刻情報)を付与する必要がありました。電子といいながらその過程において旅費精算などで非常に手間がかかったのです。改正により、スキャナーで読み取った際の署名が不要となりました。また、タイムスタンプに関しても3営業日以内から最長で2ヵ月以内へと延長されました。また、電子データの訂正や削除を行った場合には、その事実と内容をログにより残すシステムとなっていれば、タイムスタンプの付与自体が不要となっています。

この他にも、改ざん防止のために事務処理を複数名で行う必要があった点を不要とするなどの改正が行われています。事務処理については、最低1年に1回以上の定期検査を行う体制が必要であり、検査、電子データと紙の照合が求められるため、検査日まで紙の原本も保存が必要となっていました。改正により、定期検査まで紙の原本の保存も不要となりました。こうしたことにより、事務処理担当者を複数名置く必要がなくなり、人件費負担の抑制につなげられそうです。
なお、要件の緩和と同時に、不正に対する罰則が強化されています。通常課される重加算税の額に、不正に関わるものは10%加算されます。保存が楽になるものの、不正に関しては厳しい取り締まりが行われることになりそうです。

まだまだ続きます。次回もお楽しみに。

<過去問題の演習>
3級・2級受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
被相続人がその相続開始時に有していた事業上の売掛金は、相続税の課税対象となる。

<解答> ○
被相続人がその相続開始時に有していた個人事業上の売掛金(売上債権)は、相続税の課税対象となります。

【問題2】
相続税において、自用家屋の価額は、原則として、「その家屋の固定資産税評価額×1.0」の算式により計算した金額によって評価する。

<解答> ○
自分で利用する家屋は、固定資産税評価額で評価されます。

いかがでしたでしょうか?

それではまた次回、お楽しみに★