行政書士講座の講師ブログ

非典型担保

民法は、物権法定主義を採用していますが、じつは民法典では予定していないのに、取引界で広く行われ、判例によって担保権としての効力を認められているものがあります。これを総称して「非典型担保」といいます。

民法は、担保物権として、留置権、先取特権、質権及び抵当権の4種類を規定しましたが、これらの担保物権のみでは、取引界の要請を完全にはみたしえなかったのです。

その理由としては、色々ありますが、民法の規定する担保が、利用対象が限定されていたり、利用手続が煩雑であったり、効力が十分なものでなかったりする場合があったからだと言われています。
そこで、取引界は、新しい型の担保物権、すなわち非典型担保を生み出したのです。

一例として挙げると、「AがBに対する債権の回収を確保するために、あらかじめB所有の物の所有権を取得し、債務が履行されたら返還するが、もし債務が履行されない場合は、これを確定的に取得することで本来の債務の弁済とする」というような具合です。

非典型担保の特色としては、

1.目的物の所有権を債権者に帰属させるという形で、担保権行使が行われること
2.私的実行が行われていること

があります。

そして、非典型担保は所有権を帰属させる仕方に応じて、

1.譲渡担保
2.所有権留保
3.仮登記担保

などがあります。

今回はここまでです。
また別の機会に、それぞれについて、お話をしたいと思います。