行政書士講座の講師ブログ

今年の本試験(2013年11月10日)まで、あと26日

【はじめに】

本試験まで26日となりました。
勉強は進んでいますか?

今回は、受講生の方から、お問い合わせの多い「行政事
件訴訟法における争点訴訟」について、お話します。

争点訴訟は、過去問にも出てきますが、概要を知ってい
れば十分ですので、ここに書いてある以上のことは、深
入りしないで良いと思います。

1、争点訴訟とは
争点訴訟とは、私法上の法律関係に関する訴訟において
、その前提として、行政庁の処分または裁決の存否また
はその効力の有無が前提問題として争われる場合をいい
ます。

たとえば課税処分の無効を前提とする税金の還付請求訴
訟、土地収用裁決の無効を前提とする土地返還請求訴訟
などが例としてあります。

2、争点訴訟の性質と規定
争点訴訟は、行政事件訴訟法に規定があるとはいえ、訴
訟物は私法上の権利ですので、あくまで民事訴訟であっ
て行政訴訟ではありません。しかし、実質的に行政庁の
処分・裁決の有効性が主要な争点となっていますので、
純然たる民事事件として、もっぱら民事訴訟手続によっ
て処理することは必ずしも妥当ではありません。

具体的には、行政事件訴訟法では、かかる争点訴訟に関
し、若干の事項について行政事件訴訟に準ずる扱いを認
めています (行訴法45条) 。

<行政事件訴訟に準ずる扱い>
1、裁判所は、当該処分または裁決を行った行政庁に訴
訟参加の機会を与えるべく、当該行政庁に出訴の通知を
すべきものとした(39条の準用)。
2、裁判所は、当該行政庁の申立てによりまたは職権で、
決定をもって行政庁を訴訟に参加させることができる
(23条1項2項の準用)。
3、釈明処分の特則の規定(23条の2)も準用されます。
4、争点訴訟においては、職権証拠調べを行うことがで
きます(24条の準用)。

これで、争点訴訟のお話は終わりです。

あと、26日!
がんばりましょう!!

フォーサイト専任講師 福澤繁樹

【メルマガ付録1 民法の一問一答】

<民法の問題  ○か×で答えて下さい>
1、自動車事故の被害者Aは、加害者Bの資力の有無に
かかわらず、Bが保険会社に対して有する保険契約に基
づく保険金請求権を代位行使できる。

2、債務者がすでに自ら権利を行使している場合であっ
ても、その行使の方法が不適切であって債権の保全が図
られないときは、債権者は債権者代位権を行使すること
ができる。

3、いかなる場合でも、弁済期の到来していない債権を
保全するためには、債権者代位権を行使することはでき
ない。

4、債権者取消権及び債権者代位権は、常に裁判上での
み行使ができる。

5、離婚に伴う財産分与は、家族法上の行為であるので、
いかなる場合であっても債権者取消権の対象とはならな
い。

<民法の解答・解説>
1、判例は、このような事例では、加害者の無資力を要
求しています(最判昭49.11.29)。従って、資力の有無
にかかわらずという部分が誤りです。…×

2、判例は、債務者が自ら権利を行使している以上、そ
の行使の方法が不適切であって債権の保全が図られない
としても、債権者は代位権を行使できないとしています
(最判昭28.12.14)。…×

3、民法423条2項は「債権者は、その債権の期限が到来
しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利
を行使することができない。ただし、保存行為は、この
限りでない。」と定めるので、裁判上と保存行為の例外
があります。…×

4、債権者代位権は、裁判外で行使することも可能です
(民法423条1項本文)が、債権者取消権は、裁判上行使
しなければなりません。…×

5、離婚に伴う財産分与は、原則として詐害行為にあた
りません。しかし、その財産分与が、民法の趣旨に反し
て、不相当に過大であり、財産分与に仮託してなされた
財産処分であると認められるような特段の事情があると
きは、例外的に詐害行為となります。…×

【メルマガ付録2 行政法の一問一答】

<行政法の問題  ○か×で答えて下さい>
1、不許可処分の取消訴訟が確定した場合、行政庁は必
ず許可をしなければならない。

2、事情判決は、原告の請求を棄却するものであるから
、訴訟費用については原告側の負担となる。

3、当事者訴訟は、対等な当事者間の権利に係わる紛争
についての訴訟であり、行政庁の公権力の行使に対する
不服の訴訟である抗告訴訟とは手続が異なる。

4、民衆訴訟は、住民訴訟や選挙の効力に関する訴訟の
ように、法律で定められたものに限られず、一般的に提
起が可能である。

5、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきではないのに、
これがなされようとしている場合に認められる訴訟が、
差止めの訴えである。

<行政法の解答・解説>
1、不許可処分の取消訴訟が確定した場合でも、行政庁
は必ずしも許可をしなければならないわけではありませ
ん。他の拒否事由があれば、不許可も可能です。…×

2、事情判決は、原告の請求を棄却するものであるが、
訴訟費用については被告側の負担となります。…×

3、当事者訴訟は、対等な当事者間の権利に係わる紛争
についての訴訟であり、行政庁の公権力の行使に対する
不服の訴訟である抗告訴訟とは手続が異なります。…○

4、民衆訴訟が提起できる場合は、住民訴訟や選挙の効
力に関する訴訟のように、法律で定められたものに限ら
れる。…×

5、差し止め訴訟の定義です(行政事件訴訟法3条7項)。
…○

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ 事務局より試験直前の質問返答に関するお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本試験直前は非常に多くの質問が寄せられる為、試験日までに返答が
できない場合があります。

11月1日までに頂いた質問は試験日前日の11月9日13:00までに返答
させて頂きます。
11月2日から11月9日までに頂いた質問の返答につきましては試験後
となる場合がありますので、ご了承頂けますようお願い致します。

※弊社では試験前日の13:00以降~試験当日は、回答を受け取った受講
生の思考の混乱を避けるため、行っておりません。

以上