行政書士講座の講師ブログ

ポストノーティス命令事件

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の福澤です。

学習の進み具合はいかがですか?
順調な方は、その調子で!
いまひとつ・・・という方も、まだまだ挽回できます。
気合を入れなおしていきましょう!

今回は、判例の紹介です。

紹介する判例は、憲法のポストノーティス命令事件です(最判平2.3.6)。

多肢選択式の対策にもなりますので、判旨を原文で確認しておきましょう!

「本件救済命令の主文第三項は、上告人に対し、誓約書という題の下に、
「当社団が行った次の行為は、神奈川県地方労働委員会により
不当労働行為と認定されました。
当社団は、ここに深く反省するとともに今後、
再びかかる行為を繰り返さないことを誓約します。」

との文言を墨書した白色木板を上告人経営の病院の
建物入口附近に掲示するよう命じているところ、
右ポストノーティス命令が、労働委員会によって
上告人の行為が不当労働行為と認定されたことを
関係者に周知徹底させ、同種行為の再発を抑制しようとする
趣旨のものであることは明らかである。

右掲示文には「深く反省する」、「誓約します」
などの文言が用いられているが、
同種行為を繰り返さない旨の約束文言を
強調する意味を有するにすぎないものであり、
上告人に対し反省等の意思表明を要求することは、
右命令の本旨とするところではないと解される。

してみると、右命令は上告人に対し
反省等の意思表明を強制するものであるとの
見解を前提とする憲法一九条違反の主張は、
その前提を欠くというべきである。

また、被上告人が右命令の掲示文に
「深く反省する」などの文言を用いたことは、
右にみたポストノーティス命令の趣旨、目的に照らし、
適切さを欠く面があるが、原審の適法に確定した事実関係の下においては、
右命令が、上告人の不当労働行為により
補助参加人らの受けた不利益に対する救済方法として
行き過ぎたものとまではいえず、
被上告人に認められた裁量権の範囲を
逸脱したものとはいえないとした原審の判断は、
これを是認することができ、原判決に所論の違法はない。」