行政書士のスペシャリストによるこっそり裏講義

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の福澤です。

学習の進み具合はいかがですか?
順調な方は、その調子で!
いまひとつ・・・という方も、まだまだ挽回できます。
気合を入れなおしていきましょう!

今回は、民法の意思表示における重要論点である
「動機の錯誤」に関する判例について、解説をしていきます。

まず、そもそも動機の錯誤の場合は、
これが民法95条の定める「錯誤」に含まれるかどうかが問題となります。

判例は、動機が明示又は黙示に表示されれば、動機も意思表示の内容となり、
動機に関する錯誤であっても95条の錯誤と扱うことができると考えています(最判昭2.12.19)。

ここまでは、皆さん、大丈夫ですね?

これを前提として、今回は、最判昭32.12.19の
連帯保証人に関する動機の錯誤について、解説していきます。

テキストでは、2016年対策民法03Aの53ページに記載があります。

この事案は、甲乙間で、乙を債務者とする金銭消費貸借契約が締結された際に、
乙から連帯保証人になることを依頼されたAが、その依頼の際に「Bも連帯保証人になるから」
と言われていたところ、そのことを信じたAは連帯保証人になったが、
実際にはBが連帯保証人となった事実はなかったというものです。

この事案に対して、判例は、連帯保証契約において、他に連帯保証人があるかないかについては、
いわゆる動機の錯誤にすぎないので、(通常は保証契約の内容となるものではないので)
原則として保証契約を錯誤無効主張することはできないと判示しています。

この判例の論理は、まず、「他に連帯保証人があるかどうか」は、
連帯保証契約を締結するかどうかの「考慮事由=理由」にすぎず、
その連帯保証契約の内容となるものではない。

従って、「他に連帯保証人がいたと思った」というのは「動機の錯誤」である、とします。

そして、もし仮に、「他に連帯保証人がある」ということが、
その連帯保証契約の契約内容となっていれば、動機の錯誤も95条の錯誤になりますが、
そうでない場合には、最初にご紹介した判例の原則どおり、錯誤無効の主張はできないということになります。

間違えやすいポイントとしては、『依頼されたAが、その依頼の際に「Bも連帯保証人になるから」
と言われていた』という点から、これがAの締結した連帯保証契約の内容となっている
と判断してしまう点にあると思います。

確かに、一見すると、そのようにも思えますが、連帯保証契約はあくまでも、
甲とAの間で締結されるので、この契約の内容となっていると判断するためには、
甲とAの共通認識として、Bも連帯保証人になるという認識が要求されるべき、と考えられます。

しかし、この事例では、乙とAでは、「Bも連帯保証人になるから」という共通認識はありますが、
甲とAの間に「Bも連帯保証人になるから」という共通認識があるとは言えないと考えます。

従って、この場合には、「他に連帯保証人がいたと思った」というのは
「動機の錯誤」であると判断されるものと解されます。

今回は、以上です。



福澤繁樹

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