行政書士講座の講師ブログ

後見制度の今後

皆さん、こんにちは!
フォーサイト専任講師・行政書士の福澤繁樹です。

今回は、最近、仕事で考えたことを書きたいと思います。

みなさんも御存知の通り、法律的な後見的介入には、未成年後見と成年後見があります。
未成年後見は、未成年者の場合には当然に付与されますが、成年後見は裁判所の審判を端緒として行われます。

ここで、未成年者というのは画一的に決まるので問題は少ないのですが、他方の成年後見制度は、基本的には国民の側からの申立てをまって行われるという点で未成年者に比べて不便というか問題が生じやすいと思います。
もちろん、国家の側で強制的に後見的に介入する機会を増やすのは、大変むずかしい部分がありますので、現行制度にはその理論的な正当性はあると思います。
しかし、実際には、例えば高齢者であって認知機能が弱っているような場合や、若くても判断能力が不十分な場合には、問題が起こるのだと思います。
法の立場としては、そのような場合には、本人や周辺の人が後見制度の利用に踏み切れば解決するということだと思います。
しかし、実際には、制度の利用について本人からの激しい抵抗があり、関係者は本人との人間関係を慮って制度の利用ができないとか、本人が判断能力の不十分さを告白せずに、正常だというフリをして生活を続けているような場合もあると思います。

それでは、どうすればよいのかという点については、明確な回答はいまのところ見つけられません。現行制度も、完全ではないにしても、相当の成果を上げていると思います。
例えば、法律で一定の年齢以上の方には、毎年心身の検査を義務化し、その結果によって様々な生活上の制約や補助を付するというような考え方もあると思います。
しかし、この場合には、個人の自由との関係で、大きな問題が生じるとも思えます。

我が国では、これから、ますます高齢化が進みます(もちろん、判断能力の低下は高齢化だけが原因ではないですが)。
その中で、どのように本人や関係者の法律関係、さらには社会全体を守っていくのかを、大きく国民的に議論し、さらに進歩させなければならない時期に来ているのではないかと思っています。

今回は、このへんで。