行政書士講座の講師ブログ

遺骨の法的問題

皆さん、こんにちは!
フォーサイト専任講師・行政書士の福澤繁樹です。

今回は、遺骨の問題について書いてみたいと思います。

先日、遺骨を人造ダイヤモンドに変えるというネットの記事を読みました。
方法としては、人造ダイヤモンドの原料を遺骨に変えるだけのようで、骨にも炭素が含まれることから技術的に可能なのだそうです。
そこで、ふと「果たして法的に問題はないのか?」と思い、少し調べてみました。

まず、前提として、遺骨をお墓に埋めないで良いのかという疑問があります。
すなわち、遺骨をお墓に埋めないで自宅等で保管できるのかということです。
この点については、墓地、埋葬等に関する法律が規制しています。
当該法律は、墓埋法(ぼまいほう)、埋葬法(まいそうほう)などと略されています。
この墓地、埋葬等に関する法律4条1項には「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」との規定があります。つまり、遺骨を埋葬できるのは、墓地のみというのが原則です。したがって、遺骨を自宅の庭に埋めるということは法律違反になります。
しかし、遺骨を埋葬しないで、自宅で保管する場合は当該法律の規制には抵触しないというのが一般的な見解のようです。すなわち、遺骨を自宅で保管するという場合は、埋葬には該当しないので違法性はないと考えられています。

次に、遺骨を自宅で保管できるとして、それをダイヤモンドに変えてしまっても良いのか、という点が疑問となります。
この点については、刑法190条の死体損壊等の罪との関係が問題となります。すなわち、刑法190条は「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。」と規定していますが、遺骨を加工することは、この刑法に該当しないのでしょうか?
この点については、明確な法律はないようです。
ただし、法務省が非公式に、遺骨を細かい灰にして、海や山に「散骨」する行為については、節度を持って行う限り違法ではないという見解を示したという経緯があり、今回のダイヤモンド化についても、この考え方が当てはまるのではないかとも考えられています。
以上より、結論としては、遺骨を人造ダイヤモンドに変える行為については、法的に明確な基準はまだないということになると思います。

いずれにしても、お墓をめぐる現代の事情が垣間見えるようで、非常に興味深い話題でした。

今回は、このへんで。