行政書士講座の講師ブログ

各自治体のマイナールール

皆さん、こんにちは!
フォーサイト専任講師・行政書士の福澤繁樹です。

ご存知のように、行政書士の業務には、建設業許可などの許認可申請があります。
このような許認可申請には、各申請窓口が手引を発行していることが多いですが、この手引を読み比べてみると、同じ法律に基づく同じ手続きなのに、各自治体で手続きの内容が異なることが多いです。
例えば、建設業許可であれば、基本的には建設業法という法律に基づく許可手続なので、本来は、東京都でも千葉県でも同じ内容の申請手続になるべきだと思うのですが、やはりそれぞれの窓口でマイナールールがあります。
もちろん根本的なルールは同じなのですが、必要とされる証明書や書類の記入について異なることも多々あります。
これだけ読むと、実際に手続きをしたことがない方には、「???…」となる話ですが、要するに地方の役所は、それぞれが独立独歩なので、色々と独自解釈をしているということです。

そもそも個人的には、同じ建設業法という法律に基づく制度である以上、日本国中どこで申請しても同じ手続きであるべきだと思います。
例えば、建設業法に基づく建設業許可の新規申請であれば、記入する申請書の様式、添付する証明書類などは、千葉県でも東京都でも、北海道でも沖縄県でも全く同じであるべきだと思います。
しかし、現実には地方の役所というものは、相互検証をするという意識がないので「A自治体ではそのような取り扱いかもしれませんが、当方では違います。」というようなことを特に悪気もなく当然のように言ってきます。
ちなみに、この話は個々の窓口の担当者の方の態度云々の話ではありません。もっと組織的な意識改革についての話です。
本来、そのような地方の役所の独自解釈による不便や不合理は、各地方公共団体側が相互に連絡会議等を実施して解消すればよいのであり、申請側の国民がそのツケを払う必要はないのではないかと思います。
しかし、現実問題としては、そのツケを払うのは、申請する国民や企業となっています。
もちろん、地方自治の内容として、各地方自治体が独自に自分たちの特色を持つ行政を行うことは保障されるべきだと思います。
しかし、このように申請する国民や企業を不必要に困らせるような不便・不都合の存在は、けっして地方自治の本旨を隠れ蓑にして許されるようなものではないと思います。
もちろん、その解消の方法論としては、国からの強制的な手段ではなく、全国的な地方公共団体の連絡会議を実施するなどして、あくまでも地方公共団体が自発的に、その目的を申請する国民や企業の利便に資するという観点から再構築すべきだと思います。
目指すべきは、国民の利便のために、自分たちマイナールールの撤廃と手続の全国規模での標準化ではないでしょうか。
このような意識がないと、結局、手続のオンライン申請化についても、各地方自治体が各々独自に開発導入をしなければならなくなり、その予算や人材がいない自治体では、「未だオンライン申請など夢のまた夢」というような事態に陥っているのではないかと思います。
つまり、日本のオンライン申請が遅れている要因の一つとしては、技術や予算というよりも、それを担う人々の意識改革がなされていないことが最大の原因ではないかと思います。

多分実現はしないと思いますが、例えば、47都道府県が人材及び予算を提供・協力して、47都道府県で共通の建設業許可申請のポータルサイトを運営するというようなことがあれば、各自治体の負担も減るし、国民としてもそれぞれの自治体のローカルルールに翻弄されなくても良いのに…と思います。

今回は、このへんで。