皆さん、こんにちは!
フォーサイト専任講師・行政書士の福澤繁樹です。
今回は、時効の援用権者を定めている民法145条について書きたいと思います。
改正前の民法145条は、「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」とのみ簡潔に書かれていました。
それが、改正後は、「時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」となり、条文中に、具体的に当事者が列挙されています。
法改正前は、保証人、物上保証人及び第三取得者などは、判例で援用権者と認められていましたので、この判例を明文化したという形です。
この明文化によっても、未だに「その他権利の消滅について正当な利益を有する者」という部分が、判例による解釈を待つことになります。
そうすると、テキストでも掲載していますが、
①抵当権の後順位抵当権者
②土地の取得時効における建物賃借人
③詐害行為の受益者
について、援用権者と認めるべきかどうかの判例が、よりクローズアップされてくると思います。
ぜひ、このあたりの知識のついても押さえておきたいところです。
今回は、このへんで。