行政書士講座の講師ブログ

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律

皆さん、こんにちは!
フォーサイト専任講師・行政書士の福澤繁樹です。

今回は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について書きたいと思います。

同法は、以前に、ある研修で少しだけ学んだものです。

みなさんは、この法律をご存知でしたか?私は、その時の研修ではじめて知りました。
ちなみに、同法は2016年(平成28年)4月1日から施行されています。

この法律の詳細は、みなさんで調べていただくとして、大きなポイントは、事業者の責務として、同法8条が「事業者における障害を理由とする差別の禁止」と規定している点です。

すなわち、8条1項では、「事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」と規定されています。

また、同条2項では「事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。」と規定されています。

なお、この法律では、民間事業者などによる違反があった場合に、直ちに罰則を課すという仕組みにはなっていません。
その代わり、同一の民間事業者によって繰り返し障害のある方の権利利益の侵害に当たるような差別が行われ、自主的な改善が期待できない場合などには、その民間事業者が行う事業を担当している大臣が、民間事業者に対して報告を求めることができることにしており、この求めに対して、虚偽の報告をしたり、報告を怠ったりしたような場合には、罰則(20万円以下の過料)の対象になりこととされています(12条、26条)。

研修の事例では、車いすの方が飲食店に不当に入店拒否をされたという問題が出題され、それについて、上記の8条の内容も含めて検討がなされました。
みなさんであれば、この問題をどのように考えますか?

一つ思うことは、このような法律の存在や内容について、自分も含めて知らない方が多いことも、問題の一つではないかという点です。
法律は万能ではありませんが、社会制度や社会的な取り組みについての思想や考え方を模索する契機にはなりうると思います。その意味でも、法律は制定がすべてではなく改正も制定と同じ重要性を持ちます。
制定して終わりではなく、改正を重ねることが大切なのだと思います。

今回は、このへんで。