行政書士講座の講師ブログ
連帯債務と不可分債務について その2

皆さん、こんにちは!
フォーサイト専任講師・行政書士の福澤繁樹です。

今回は、前回に続いて、連帯債務と不可分債務について書いていきます。

前回は、両者の意義と成立における相違点について書きましたが、
今回は、両者の債務者の一人について生じた事由の他の債務者に
対する効力についてみていきたいと思います。

まず、両者ともに、相対的効力が原則となります。

条文としては、441条が根拠になります。

(相対的効力の原則)
第441条 第438条、第439条第1項及び前条に規定する場合を除き、
連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。

ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、
当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。

ちなみに、441条は連帯債務についての規定ですが、不可分債務も430条で
441条を準用していますので、同じく相対的効力の原則が妥当します。

そして、例外的に絶対的効力が認められる場合について、
以下のように定められています。

連帯債務 :弁済、更改(438条)、相殺(439条1項)、混同(440条)
不可分債務:弁済、更改(438条)、相殺(439条1項)
※不可分債務は、430条により準用

ここでのポイントは、連帯債務では、混同(440条)が
絶対効であるのに対し、不可分債務では相対効である点です。

この理由については、不可分債務の場合には、債権者と債務者が同じ人になっても、
なお、弁済をする意味があるからだと説明されます。

例えば、連帯債務の場合には、連帯債務者の一人と債権者との間に混同が生じたときは、
その連帯債務者は、弁済をしたものとみなされますので、

その後に、内部の負担割合等に応じて、その連帯債務者(債権者)が、
他の連帯債務者に「求償」をすれば済みます。すなわち、一度、混同が生じた
連帯債務者に弁済させて、その後に他の連帯債務者に求償をするという無駄を省くことができます。

これに対して、不可分債務の場合、
その債務の内容が、共有建物の引渡しという場合もありますので、
混同が生じた連帯債務者としては、混同により債権が消滅せずに、
債務者全員が建物の引渡債務を負う方が良いという場合があります。

そこで、不可分債務では混同を相対的効力に留めているといわれています。

細かな理屈はさておき、試験対策としては、連帯債務と不可分債務の違いについて、
「混同について、連帯債務では絶対効、不可分債務では相対効である」
という知識は押さえておきましょう。

以上で、連帯債務と不可分債務についての
お話は終わりにしたいと思います。

それでは、また!