ITパスポートのスペシャリストによるこっそり裏講義

皆さん、こんにちは!
 ITパスポート講座担当の小野です。
 春本番! 眠くならないように!

 先月もコンピュータによる資産運用の話を取り上げましたが、今月は別の視点から見てみましょう。

 AIなどの機械による運用(売買)がまだ始まったばかりだが、色んな場にどんどん進出していて、全世界の時価総額(上場されている株式の金額の合計)およそ7,000兆円のうち2,000~3,000兆円くらいが、AIなどの機械による運用になっています。要は、全体の3~4割がAIなどを使った機械的な運用になっているということで、機械による資産運用はすでにかなり浸透しているわけですね。自分の職場の仕事の3~4割をコンピュータがやっている状態を想像してみてみると、その浸透具合がいかにすごいか分かります。

 AIによる運用にはいくつかかのパターンがあります。

 1つめはトレンドメーカーといわれるAI運用で、株価の値動きのきっかけを作る役割です。AIが常にネット上を巡回して、経済関連のデータ・記事や投資家のつぶやきなどを収集し、そこから世の中の話題を読み取って、対象となる株などの売買を行います。
 例えば、アメリカの自動車メーカーのGMですが、GMの株価は2018年の6月には、1株45ドルくらいだったのが、2018年の10月末には30ドルくらいに暴落しました。実は、この間、GMは新規の求人件数を減らしていて、AIがそのデータを「GMは採用を減らしている」と解釈し、「GMは何かヤバイ、GM株は売ろう」というアクションにつながっていたとのことです。こういうふうに、AIが24時間365日、人が生み出すデータ・人の活動という世界中のあらゆる情報を集めて株価変動のきっかけを作っているんです。

 もう1つはトレンド追随型といわれるAI運用で、値上がり始めた株を買って上昇相場で稼ぐ、逆に、値下がり始めた株を売って下落相場で稼ぎます。資産運用の世界では、値下がり局面でも稼ぐことができるの特徴です。例えば、トヨタ株が値下がりしそうと思ったら、トヨタ株を持っている人から借りてきて証券取引所で1,000円で売って、800円くらいに値下がりしたところで証券取引所で買ってきて元の人に返せば、200円稼げますね。要は、上昇相場・下落相場のどちらでも値動きの方向性があれば、稼げるということです。こうやって、値上がり相場、値下がり相場の両方で利益を目指していく運用が行われています。

 こう見ると、AIが値動きのきっかけを作り、値動きの方向性も作っていて、支配されそうでちょっと怖いような気がします。実際、いろんな弊害も出始めているんです。

 最近は株価の乱高下が多くなっていて、それは、トレンド追随型のAI運用の仕業といわれている。きっかけが作り出されて、トレンドができると多くのAIがトレンドを加速させるような取引をするので、暴騰・暴落につながる。暴騰・暴落が多くなると年金財政などにも悪影響を与えてしまいます。
 逆に、トレンドメーカー型AIが作ったきっかけがあまりパッとせずトレンドができなかったら、株価はほとんど動きません。市場は値動きを通じて、優秀な企業に資金を集め、優秀ではない企業に市場からの退出(要は倒産してもらう)を促す役割を持っています。しかし、優秀ではない企業が世の中の話題にならない場合には、AIがきっかけを作ることができず、トレンドも生み出せず、株価が動かなくなって、優秀ではない企業を温存してしまう不幸が生じてしまいます。

  AIはそんな非効率さも持っているので、私たち人間は引き続き、世の中の動きをウォッチして、適切にそれに対応できるようになる必要ありますね。AIが実際の売買をするけれども、値動きのきっかけの元ネタは人の活動やデータだということです。機械任せではなく、自分で判断する力もきちんとつけておかなければなりませんね!



小野正芳

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