ITパスポート講座の講師ブログ

統計でどこまで分かる?

皆さん、こんにちは。
 
ITパスポート試験では簡単な統計に関する知識について問われますね。

私もITパスポートの勉強を通じて統計の存在を知り、
今はいろいろな統計結果に関心を持ち、
ある程度結果を理解できるようになってきました。
 
そんな折、中室牧子さんの『学力の経済学』という
何とも魅力的なタイトルの書籍が発売されました。

著者は「今、教育界で信じられていることは本当なのか」
という疑問をもち、統計を使ってその疑問に答えてみようというのが、
本書の内容です。

例えば、「子どもは褒めて育てるべきだ」、
「ご褒美で釣って勉強させてはいけない。
勉強の意義を説明して、自発的に勉強させるべきだ」
などとよく言われます。でも、それは本当なのでしょうか?

本書はデータにもとづいて、これらの問に明快に答えます。
うわぁ、やっぱりデータって、説得力がありますね。

褒めるのであれば、タイミング・褒める対象に十分に注意して褒めなければならないそうです。
むしろ、安易に褒めるだけであったり、褒め方を間違えたりすると悪影響を及ぼす
(根拠のない自信過剰な子どもになってしまう)そうで、危険ですらありそうです。

また、ご褒美で釣るのは有効だそうです。
ただし、タイミングとご褒美のあげかたが重要で、それを間違えると逆効果だそうです。
ここでは「ご褒美」に対する誤解も指摘されています。

「ご褒美」というとお小遣いであったり金銭的なものを
子どもにあげるというイメージで捉えがちですが、
小学校高学年くらいまでは「トロフィー」であるとか、
スタンプラリーであるとか、そういった類のものが「ご褒美」として機能するそうです。

テレビなどでの教育談義は、時間の問題やお手軽企画にしないと
視聴率がとれないという問題もあるのでしょう、
「褒める」「ご褒美」というキーワードだけをサクっと
放送するという形にならざるを得ません。

決して、「褒めて育てた子ども100人と、
褒めずに育てた子ども100人を比較する」とか、
「Aという褒め方をした子ども100人と、
Bという褒め方をした100人を比較する」なんて面倒な検証はなされません。

でも、「学力」を付けさせようと思ったら、
お手軽な対策はなく、親がよ~く考えて、よ~く調べて、
たっぷりと時間をかけて子どもに接しなければならないという、
論理的に考えれば当然のことが、データを使った1冊の本で検証されました。
 
仕事柄、私自身、データを使って様々な分析を行い、
それを次の仕事に使うということが多いですが、
私生活でもその姿勢は崩さないようにしないとな、と考えさせられた本でした。