ITパスポート講座の講師ブログ

配偶者控除を廃止しても働く人は増えないよね。たぶん。

皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
秋の夜長、たくさん勉強してますか?

前回、配偶者控除の廃止について、現在配偶者控除を受けている人数を示しました。
そのデータを見る限り、配偶者控除を廃止しても働く人は増えないと思います。
少し分析してみましょう。

2つの層に分けて考える必要があると思います。
まずは400万円以下の層です。
日本人の平均給与が450万円くらいと言われていますから、平均を下回る層の状況と言うことですね。

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全体で1~2割の人だけが配偶者控除を受けています。
つまり、9割くらいの世帯では奥さんも103万円以上稼いでいるので、
今後配偶者控除が廃止されても労働量は変わらないでしょう。
この層で働いていない人々が抱えている問題はお金の問題ではないと思います。
現実的に400万円くらいまでの収入で一家が生活するのは結構きつい状態でしょうから、
それでも働いていないのはお金の以外の問題で働けない状態(親の介護とか、子どもの世話とか)である可能性が高いと思います。
ということは、配偶者控除を廃止しても全く変化は起きないでしょう

次に401万円~の層です。

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旦那さんの給与が高くなるほど、配偶者控除を受ける割合が高くなります。
~600万円の層は配偶者控除を受けているのが2割程度ですから、
~400万円の層と同じく、それ以上の労働力の増加を期待するのは難しいかもしれません。

一方、801万円~の層の労働力の増加を期待するのは難しいかもしれません。
だって、働く必要がないから労働量が少ないというケースが多く含まれると考えられるからです。
また、801万円~の層は50代、60代が多く含まれますので、その世代のおばさまが
今からフルタイム労働を始めるというのも難しいかと。

したがって、401~600万円、801万円~の層についても、配偶者控除の廃止によって大きな変化は生じないでしょう。

よって、メインターゲットになるのは、601~800万円の層ですね。
ここに含まれる4割の人々がどんな理由で労働量を少なくしているのか、
その理由を考えるのはちょっと難しいのですが、もし、労働量が少ない理由が配偶者控除にあるのであれば、唯一ターゲットになる層です。

ということは、「配偶者控除の廃止」という手段で、「労働力を増加させる」という目的を達成できる可能性があるのは
601~800万円の層に対してだけということになります。しかも可能性であって、その証拠は示されていません。

数年に1回、配偶者控除の廃止が提言されますが、その都度、理由が違うような記憶があります。
つまり、理由に挙げられている事柄を実現することを目指しているのではなく、
配偶者控除を廃止して増税することが真の目的なんだろうな、
と思ってしまいます。だったらそういえばいいのに。