ITパスポート講座の講師ブログ

正規は減ってない-非正規の増加=自営業の減少-

皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
だんだん、春っぽくなってきました。眠くならないように!
 
ITパスポート試験では、派遣・請負など、雇用形態に関する出題もなされますね。
フリーのIT技術者も多いからでしょうか。ただ、この4月からは、
企業が技術者を自社雇用しなければならなくなる場面が増える法規制が適用されることになっいるそうで、
派遣・請負のIT技術者は少し減るのでしょうか?

さて、神林龍著『正規の世界 非正規の世界』という本では、
雇用形態に関する詳細な検討がなされています。
雇用形態については様々なメディア等で取り上げられていますが、
本書ではそれらで取り上げられることのなかった論点が取り上げられ
とても斬新でした。

それは「正規が減って非正規が増えた」のではなく、
「個人事業が減って非正規が増えた。正規は安定している」ということです。
ちょっと意外ですよね。

ここ数年、様々なところで「非正規雇用の労働者が増えた」と言われています。
そして、その裏で我々は無意識に「正規が減った」と思い込んでいます。
つまり、「企業は正規雇用を減らして、非正規雇用を増やし、
不安定な身分の人を増やしている。けしからん。」と。

でも「正規雇用が減った」という報道(データ)をみた記憶はあまりありません。
無意識に「非正規が増えた」=「正規が減った」=人々の生活を不安定にしている
と思い込んでいるだけかもしれません。

本書によれば、正規雇用は一定数(割合)で変化なく、
非正規が増えた分だけ自営業が減ったと分析しています。
独立しているけれども不安定だった自営業だった人が、
企業に1年契約などで雇用される非正規雇用の職に就いているというわけです。

様々な場面で、非正規雇用の増加が問題視されてきました。
それは正規雇用に比べて賃金が低いため生活基盤を作れない
(結婚できない、子供を持てない)問題に発展すること、
雇用期間が安定しないため労働者のスキルアップができない
(生産性を高められない)といった問題です。

ただこのようなとらえ方は「正規」だった人が「非正規」に変わった場合の問題です。
自営業の人はそもそもが不安定で収入格差が激しかったわけですから、
「正規だから低賃金・不安定」というとらえ方をしてしまうと、
対策の方法を間違ってしまいます。

今後の雇用政策にどのように反映されるか、見守りたいですね。