ITパスポート講座の講師ブログ

効率性と比較優位

皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
“食欲の秋”が過ぎていき、実績が上がってきた(お腹が出てきた)今日この頃です。
皆さん気をつけましょう!

ITシステムは業務効率化を1つの目的としていて、
その動きはグローバル化によって、世界規模での効率化という側面を持っています。

しかし、最近は逆の動きが生じていますね。
アメリカやヨーロッパでは、選挙で移民を制限する大統領、政党が選ばれることが多くなってきましたし、
貿易戦争も大変なことになってきています。

これまでさんざんグローバル化って言ってきたのに、
ここにきて反グローバリゼーションの大合唱です。
これからの効率化はグローバル規模では無くなってしまうのか?と疑問もわきます。

でも、今起きている反グローバル現象は、
グローバル化が一気に進んだことへのちょっとした反動だから、
もっと豊かになりたいという欲望がある以上、
徹底した役割分担が必要なので、まだまだグローバル化は進むと考えられます。

そもそも、グローバル化は、経済活動の1つ1つの仕事を世界規模で分担する仕組みです。
これは「比較優位」という考え方がベースになっています。
例えば、裁判などで1時間で1万円稼ぐ弁護士がいたとします。

でも、同時に1時間の事務作業も必要になり、
その1時間の事務作業は1円も生み出しません。
その場合、その事務作業は自分でやるよりも、
弁護士ではないけど事務作業が出来る人を
例えば時給1,000円とかで雇った方がいいと結論になります。
2人での稼ぎを考えると、稼ぐ効率が上がるからです。

ポイントは弁護士より能力の低い事務員で事足りるということ。
これを比較優位といって、この比較優位による分担があらゆる業種・世界規模で起こっているのがグローバル化なんですね。

ちなみに、事務作業をやる人は儲からないじゃないかと思うかもしれませんが、
事務作業を行うのも会社で、たくさんの弁護士事務所から同じような事務作業を受注して
効率的にやればかなり儲かります。これを規模の経済といいましたね。
そして、外注することをアウトソーシングっていいますね。
いずれも、ITパスポート試験にも出てくるとおりです!
 
比較優位のもとでは、仕事を分解して徹底的に分担することが正しいので、
様々な能力・知識の人達(高い人も低い人もまんべんなく)が集まっている環境のほうがうまくいきます。
つまりは多様性ってやつですね。能力の高い人ばかり、リーダーばかりしかいない経済はうまくいかないんです
(以前、企業の採用担当の方と話をしているとき、今日の新卒採用面接で「僕は学生時代、
4年間、サークル活動(バイト先)でリーダーでした」ってやつに5人会った。
世の中にそんなにリーダーがいるわけないし、
いる必要もないのにと愚痴っていたのを思い出します)。

ただ、この仕組みが進みすぎて、
これまで事務作業をやっていた人から仕事を奪うという側面が強くなりすぎて、
「グローバル化反対!」となっているのが現在の状況であるような気がします。

反グローバルの言い出しっぺはアメリカ大統領でした。
アメリカ経済が世界一になったのは比較優位のおかげのように思えるけど、
そんなアメリカが反グローバルでいいのか?と思ってしまいますけど、それじゃ、ダメでしょう!

アメリカは移民で様々な能力・知識の人を国内に集めて、
一人グローバル化状態だったわけで、先住民を隅っこに追いやって、
外の人達だけで作られた国がアメリカですよね。

いろんな国からやってきた、習慣から価値観から何もかも違う人達が競争しながら作った国だから、
比較優位がうまくはたらくとともに、よい部分だけがミックスされて強い経済になったはずです。

土着の人がたくさんいるところに移民を入れようとしてもうまくいかないのは当たり前です。
ヨーロッパは圧倒的に地元(自国民)が多いところに政策的に移民を入れていますから、
移民が隅っこに追いやられて、比較優位がうまく機能しなくなるとともに、
よい部分がミックスされなくなってしまう。
その結果が、イタリアやオーストリアでの移民排斥運動なんでしょうね。

そう考えると、いろんな理屈を立てて移民に近い人達を受け入れている日本は、
今後うまくいくでしょうか? 
いつか、なかなか難しい状況を迎えるような気がしてなりません。

皆さんはどう思いますか?