ITパスポート講座の講師ブログ

指標の計り方

統計

皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
お~~春だ! リフレッシュしていきましょう!

先日の新聞に、「LINEの価値はいくらか?」をテーマに
東大の学生さんが卒業論文を書いたとの記事が載っていました。
その学生さんは、LINEユーザー1,200人に
「いくらもらえたらLINEを1年間やめますか?」という質問をして、
結果を集計したところ、
1人あたり「300万円もらえたらLINEを1年間やめる」という結果が出たそうです。
LINEのユーザーは7,900万人、
1人1人がLINEのサービスに対して300万円の価値を見いだしているということは、
計算上、ユーザーから見たLINEの価値は237兆円ということになります。
一方、会社所有者である株主がつけたLINEの価値は
約9,380億円です(発行済株式240,545,142株×1株あたり株価3,900円)。

このように指標の計り方は多様です。
ですから、日本全体の指針となる国の政策に使われる各種統計は
多くの人々が納得できる計り方を行って、その数字を正しく利用する必要があります。
企業レベルでもビッグデータを正しく使って経営方針を決めている時代ですから、
1億2,000万人の行く末を預かる国や自治体では
なおさらデータに基づく正しい政策を実行をしてもらわなければなりません。
ITパスポートを学んでいる皆さん方なら、
IT技術を使って適切にできるだけ多くのデータを集めデータベースを作り、
そのデータベースからマイニングで様々な新たな情報を引き出してきて、
経営環境に考慮しながら最適な活動を行っていく必要性をご存じのはずです。

しかし、現実はなかなか厳しいですね。
厚労省の賃金に関する統計について、
本来ならば直接聞き取りをしなければならなかったデータを、
郵送のやりとりで聞こうとしていたそうです。
賃金に関する統計を作るといっても、日本のすべての企業に対して、
従業員へ支払った賃金を尋ねることはできません。
ですから、標本調査といって、
一部を調査すれば全体を表すような調査対象をきちんと抽出して
一部だけを調査する手法が一般的です。
しかし、郵送で調査をしてしまうと、標本調査の前提が崩れてしまいますから、
できあがった統計が現実を表さないということになってしまいます。
 
統計上は賃金がかなり上昇していました。
しかし、多くの人々にその実感があまりありません
。間違ったデータに基づく間違った政策を続けてきたのかも知れません。
失われた20年が、失われた30年にならないことを願うばかりです。