ITパスポート講座の講師ブログ

就活生マイニング

皆さん、こんにちは。 
 IT講座担当の小野です。
 今日もがんばっていきましょう!

 恐ろしいことが起こりました。
 就活生マイニングです。
 リクルートキャリアが、「リクナビ」に登録した就活生の情報を企業に販売していたそうです。
 
 大学生の場合、就職活動は、3年生の秋~冬頃に「リクナビ」などの就職情報サイトに登録することから始まります。そのサイトには企業からの説明会情報などが公表されていますから、就活生は「リクナビ」などに登録してお目当ての企業の説明会に参加し、筆記試験/面接試験を受けるという手順を踏みます。就活生は「リクナビ」などのサイトに登録しなければ、まともな就職活動ができない世の中になってしまっているんです。

 そうなると、「リクナビ」などに就活生の行動に関する膨大なデータが集まります。当然、「リクナビ」経由でエントリーシートを企業に提出しますので、個人情報がたっぷり集まるわけです。
 となれば、「この大学の学生で、この地域に住んでいて、こんな趣味をもち、学生時代にこんなサークルに入って、こんなバイトをした学生は、こんな企業を好む傾向があり、この企業から内定が出ても、断る可能性が○○%くらい」というデータマイニングは十分可能ですね。
 
 今回、リクルートキャリアが販売していたデータは「学生の内定の辞退予測」と言われていて、恐らくこんな感じのデータなのでしょう。

 ITパスポートでも出題される個人情報保護法では、事業者は個人情報を取得する際に、その個人情報の使途を明示して、個人の同意を得なければならないことになっています。もちろん、リクルートキャリアは、就活生がサイトに登録するときに上記の説明をしたと言っています。登録画面に表示させたことは間違いないでしょう。

 ここで問題は2つです。1つは圧倒的な力の格差があること。就活生は「同意しません」ボタンを押すと、「リクナビ」に登録できません。ですから、就活できずに、一生を棒に振るかもしれません。今の日本は新卒時に就活に失敗すると、一生、不利益を被る可能性がかなり高い社会です(就職氷河期世代の引きこもり問題とか…)。だから、学生はいやでも「同意する」をクリックするでしょう。
 もう1つの問題は説明のやり方です。「辞退情報を作成して企業に販売する」ことを明記していたかどうかということです。今の時点では「辞退情報の販売」をやめていますから、個人情報に関する同意書には「辞退情報を作成して企業に販売すること」は出てこないのでしょうが、数ヶ月前までの同意書には明示されていたのでしょうか?

 日本では、新卒時の就職が一生を左右しかねません。「この就活生は、内定を辞退する可能性が90%」という情報を「リクナビ」から提供された企業は、この就活生に内定を出すでしょうか? 自分が知らないところで、知らないうちに取られたデータで、重要な評価を受けていると思うと怖いですね。対策のしようがないですから…。