ITパスポート講座の講師ブログ

ダイナミックプライシングが続々と!

 皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
まだまだ寒い日が続きます。皆さん体調管理には十分気をつけて!

 いろんなモノ・コトがITとリンクし始めた現代。なんでも、ITがモノの値付けを決めるようになり、ダイナミックプライシングがかなりの進化をとげているようです。

“ダイナミック”っていうと“力強い感じ”ってイメージがしますが、“動的““必要に応じて動く”という意味もあります。ダイナミックプライシングの“ダイナミック”は”必要に応じて動く“ほうの意味で使われ、「売上金額を最も多くするように(売れ残りロスを最も減らすように)価格を動かす」仕組みを表す言葉です。

これまではスーパーのお総菜や、飛行機・ホテルなどの値引が典型例でした。少しでもコストを回収するために、値下げする方向で使われてきたんですね。売れ残ったらその分の売上はゼロだけど、半額でも売れれば、その分の売上代金がお店の手取額となるので、値引きしても売った方がいいというわけです。ホテルや飛行機の料金も同じ理屈です。。

 すでにお総菜は作ったから材料費・人件費はかかってしまっています(追加でかかることはありません)。飛行機も同じですね。満席で飛んでもガラガラで飛んでも、コストはそれほど変わりません(燃料代くらいです)。ですから、半額でも売れれば利益は出ないとしても、少しでもコストを回収できるため、安売りしてでも買って欲しいわけですね。
 
ただ、値引き幅を決めるのはパターン化されていることも多い(特にスーパーの値引きシールは19時になったら貼るといったケースも多い)みたいです。買う人が多い時に値引き額を小さくする、乗る人が多い時に料金を高くするといった使い方は難しかったわけです。

 でも、ITの進化(AI・ビッグデータ)で、この値引をシステム的にできるようになりました。過去の販売実績を見て、何曜日ならば、何時頃から、いくらで売るのがよいのかがハッキリ分かるようになってきただけでなく、リアルタイムで現在の需要を把握できるようになったんです。ですから、値下げ幅の精度を高めるだけでなく、値上げ方向でも使えるようになってきたんですね。

値上げ方向で使われる例も出てきています。浜崎あゆみさんの年末のコンサートチケットの売り方は話題になりました。席ごとの標準的な価格が事前に示され、価格が上下する旨のアナウンスがなされた上での販売でした。いざ、フタを開けてみると、事前に3万円前後とされていたステージ近くの席が4万円前後で完売するなど、(販売画面から読み取る限り)ほとんどの席で標準価格より高めの価格で売れたみたいです。
 
これには賛否両論あるみたい(カネさえ払えばいいのか?など)だけど、かたちとしてはオークション形式ですから、つまり、売る側が価格を決めるのではなく、より高い金額を払ってもいいと思っている買う側が払いたい金額を払った、その結果、売る側は売上を最も多くできた、ということです。

 他にもあります。インドのOYOというホテルチェーンの値付けです。OYOは急成長のホテルフランチャイズ(総客室数は世界2位)で、AIによる需要予測で1日に4,300万回  も客室料金を変更するということです(もちろん、企業秘密だから、正式な回数は公表されていないけど…)。曜日・天気といった情報はもちろんのこと、そのホテルの周辺でのイベント情報が得られれば、常に新しい情報でAIが価格設定。その結果、1日に4,300万回!の変更です。

 一方でデメリットもあります。
これまでは飛行機だと早割(早く買えば安い)、スーパーだと遅くなるほど安いという単純なモノでしたが、これからは、面倒ですが、常に価格をチェックしておかなければ、安く買えなくなります。飛行機だと値動きが一方向(値下げ)だから隣に座った人が早割で安く買っていてもそれほど文句は出ませんが、コンサートチケットが安くなったり高くなったりする中で、隣の席の人が自分の半額しか払っていなかったら…。そんな不公平感がデメリットで、それをどう取り除くか?というのが問題点です。

 全員を満足させるのは難しいけど、ダイナミックプライシングで、サービス提供側も受ける側も、より多くの人が納得感を得られるように価格調整できるかどうかがポイントになりますね。みんなの幸福度が1番高まるような使い方がされますように!