ITパスポート講座の講師ブログ

身近になってきたパーソナルスコア

 皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
だんだん、春っぽくなってきました。眠くならないように!

 最近増えてきたパーソナルスコアサービス。みずほ銀行、ソフトバンク、NTTドコモなど、大企業がサービス提供を始めました。このパーソナルスコアサービス、いったいどんなサービスなのでしょう? 私たちにとってどんなメリット・デメリットがあるのでしょう?

 一言でいえば、個人情報と引換にいろんな優遇を受けることができるサービスです。
整理しておきたいのは、信用スコアを計算する会社と、信用スコアを利用する会社が分かれていることです。日本でのパーソナルスコアサービスの草分けと言われているのは、みずほ銀行とソフトバンクが運営しているJスコアという会社ですが、Jスコアはパーソナルスコアを計算する会社です。Jスコアという会社は、パーソナルスコアを計算してもらいたい個人に、生活、性格、ウォレット(財布:収支)、ファイナンス(お金に関する考え方)、プロフィールと、いったことを尋ね、ソフトバンクがこれらの情報収集・分析の技術(AI)、みずほ銀行が集められた情報に基づいて個人の信用度を判断するノウハウを駆使して、パーソナルスコアとして点数化します。

どんなことを尋ねられるのでしょうか?  面白いのをいくつか取り上げてみましょう。

 生活カテゴリーでは、
  ・1日にどのくらいテレビを見るか・ラジオを聞くか? 
  ・夕食の食べ方は? 
  ・食材を買うときに何を意識する? 
  ・使っているSNSは? 
  ・スマホでのネット時間は?
といった質問です。

 性格カテゴリーでは、
  ・お店の人にオーダーを間違えられると、しばらく気になる? 
  ・大笑いをよくする?
といった質問です。

  ウォレットカテゴリーでは、衣服・娯楽・学習にどのくらいお金をかける?
  ファイナンスカテゴリーでは、家計は誰が管理している? ATMの利用回数は? 
  プロフィールカテゴリーでは、学歴・職業・役職などに加えて、加入している健康保険は? 
などなどですね。

 生活のかなり細かい部分まで個人情報を提供することになりますから、生活丸見え状態になるかもしれません。当然、あまり提供したくない情報もありますよね? でも、ちょっと意外なアンケート結果があるんです。
 1年ほど前に行われたパーソナルスコアに関する意識調査では、年齢・学歴・職業といった情報を提供してもいいという人は約5割、趣味や生活での行動といった情報を提供してもいいという人は約4割もいるんです(収入やSNSの利用状況などを提供してもいいという人は2割くらい)。そして、約4割の人がパーソナルスコアサービスに賛成していて、最も多い理由は「真面目に生きている人が報われるサービスだから」。この数字を多いと見るか、少ないと見るか…。

 こうやって収集・分析されたスコアは提携会社によって利用されます。
例えば、 Jスコアには提携会社があり、スコアを持っている人がその提携会社のサービスを使う場合、スコアを提示すれば、スコアに応じた優遇を受けられます。これがパーソナルスコアサービスのメリットです。
他には、ブリヂストンゴルフだと、SILIVERランクの人にはスクールお試しレッスン、DIAMONDランクの人にはマンツーマンレッスンを提供したり、ソフトバンクだと通信料を割引したり、などなどです。スコアが高い人ほど優遇レベルが高くなります。
 なぜでしょう? 中国の様子を見ると何となく分かるかもしれません。中国ではアリババが運営する芝麻(ゴマ)信用というサービスがあり、数億人が利用中ですが、支払が滞るのはもちろん、トラブルを起こす、ホテルの備品を持ち帰る、交通違反などでスコアが下がるといわれていて、人々が品行方正になったと言われています。あくまでも統計ですから、スコアが高い人は必ず品行方正とは言えないかもしれませんが、好スコアの人が品行方正である確率はかなり高い訳です。品行方正な人をお客さんにしたいので、好スコアの人に高いサービスを提供するんですね。まさに、真面目に生きている人が報われる方向に誘導されているようです。

 なんか、差がついてしまう世の中になりそうな気がしますが、そこがデメリットです。外国ではすでにそのデメリットが表面化しています。
例えばアメリカはクレジットカード大国だけど、その信用度で大きな差が生まれています。クレジットスコアを上げるためにどうすべきかを親が子どもに教えるくらい大事なことになっています。