ITパスポート講座の講師ブログ

ビッグデータの収集と販売-その1

皆さん、こんにちは。

昨年あたりからビッグデータという用語をよく聞くようになりました。

いろいろな企業や役所がビッグデータを使った
サービスの提供をアナウンスしていますね。
すでに自動車メーカーはビッグデータを使ったカーナビサービスを提供しています。

メーカー純正ナビは走っている状況をデータ化して、
メーカーが運営しているサーバにそのデータを送っています。

そしてサーバに集められたデータが処理され、
処理されたデータがすべての車のナビに送られ、経路検索などに利用されます。

例えば、ある道路を走っている車がその平均速度をデータ化してサーバに送ったとしましょう。
ナビは地図情報を持っており、車の速度計などとも接続されていますから、
どの道をどのくらい速度で走ったかをデータ化できるわけです。

ある特定の車の平均速度が遅いだけなら、
コンビニに寄って買い物でもしたために平均速度が遅くなったのではないかとも考えられますが、
その道を走っているすべての車の平均速度が遅ければ渋滞していると判断できます。

データ数が増えれば分析の精度が上がるというわかりやすい例ですね。
サーバはこうやって多くの車からデータを集め分析し、その結果を他の車に送信します。
すると、他の車が経路検索をするときにその渋滞している道を通らないようにするわけです。

渋滞緩和に役立ち、いいことずくめのような気がしますが、
もちろんそんな簡単な話では終わりません。
俗に言う個人情報の問題です。

どの車が何時何分にどの道を通ったのかということが
データ化されているわけですから、
ある車を追跡しようとすれば技術的にはできてしまいます。

ナビにはそれぞれの製造番号などが付けられているはずで、
その製造番号などを平均速度のデータとともにサーバへ
送信するプログラムにしておけば簡単にわかりますね。

つまり、個人の行動が第三者に簡単にわかってしまうわけです。
上で書いたようにデータが多いほど分析の精度は上がりますから、
自動車メーカーはより多くのデータを欲しがります。

その結果、当然ですが、「基本利用料金無料」ということにして多くの人に利用しやすくします。
そして、ナビ機能は無料で提供するけれども、
高速料金計算は有料にするといった具合に一部の機能だけを有料にしておくと、
効果てきめんです。

ほとんどの人が使いたい機能はナビ機能であって、
高速料金まで計算してくれなくてもいいから、
「うわぁ、基本的なサービスを無料にしてくれるなんて親切な会社だな」
というよいイメージも植え付けることができます。

利用者はこのサービスを利用する側は
どんなデータがどれだけサーバに送信されているのかなんて
考える人は少ないですから、「利用料金無料」というところだけに目がいって、
「無料なら使おうか」ということになりがちです。

そして、企業に儲けさせることになります。