ITパスポート講座の講師ブログ

ふるさと納税で日本全体は潤う? -その2-

皆さん、こんにちは。

さて、ふるさと納税は納税者から見ると魅力的な制度なのですが、
経済全体で見ると、もしかしたら合理性に欠ける制度かもしれません。
というのは、ふるさと納税を受けたい自治体が贈り物合戦を始め、
制度全体でマイナスサムゲームになっているかもしれないからです。

例えば、10,000円の寄付をしてくれた人に対して
8,000円相当の地域特産牛肉を贈る自治体(M市)があります。
X市に住んでいるAさんがM市に10,000円のふるさと納税したとしましょう
(話を簡単にするために住民税だけで考えます)。

すると、こんな不思議なことが起こるんです。

ふるさと納税制度が始まる前
Aさんの納税額 10,000円
X市の受取額  10,000円

ふるさと納税制度が始まった後
Aさんの実質納税額 2,000円
X市による補填額 8,000円
M市の受取額 3,000~4,000円くらい?
贈り物のコスト 6,000~7,000円くらい?

まず、Aさんは10,000円の寄付を行いますが、
自分が支払う税金から8,000円還付されますので、
実質的な寄付額は2,000円です。

つまり、M市への寄付10,000円の内訳は、
Aさんが2,000円、X市が8,000円支出することによるものなんです。

一方、M市は10,000円の寄付を受け取ります。
ただし、寄付してくれた人に対して8,000円相当の牛肉を贈りますから、
その牛肉を仕入れ、寄付に関する事務を行い、発送する必要があります。

8,000円相当とありますが、通常の小売価格が8,000円だという意味であれば、
M市が業者から仕入れる仕入価格は3,000~4,000円、
職員の事務作業に関する人件費が1,000円、
発送費が1,000円、その他の諸経費が1,000円くらいでしょうから、
6,000~7,000円の経費がかかり、差し引きの受取額は3,000~4,000円くらいでしょう。

自治体の受取額を見ると、ちょっとロスが出ていますよね?